第39話 "真実"を知るため
そうこうしているうちに、花輪を頭に掛けた人達が、遣いと共に天門に入っていった。
「終わりましたね、きし‥‥」
話そうとした時、異変に気づいた。
そう、騎士長がいない。そう思った刹那、オレは周りを見渡した。やっぱりいない。
「?、カアレ。どうした?」
「あ、師匠!き、騎士長は?」
「ああ、父さんなら、よくわからんが、自分の家の方に行ったぞ?」
「わかった、ありがとう!」
オレは走った。騎士長を追うために。
「お、おいカアレ。どこ行くんだよ?」
オレは人混みの中、走るのに夢中過ぎて、答える余裕がなかった。なぜこんなに走っているのか他の人間は不思議に思っただろう。
オレは、騎士長が今居なくなるのは明らかに不自然だと思った。立場上、儀式に最後まで居なくてはいけない人間のはず。なのに、それを放棄してまで家に行く用事はあるのか?
と思ったのだ。まあ、あくまで憶測だけど。
人混みを抜け、自分の家に入って行く騎士長を見た。どうやら、問い詰めることはできないらしい。
(くそぉ、なんかあると思ったのに‥‥)
仕方ない、戻ろうと思った時だった。予期せずして、オレは見つけたのだ。天門の裏口を。
(!‥‥、ほんとに‥あったんだ‥!)
この扉(?)を開ければ、オレは"真実"ってやつを知ることができる。そしたら‥‥
オレは、扉を開けようとした。
(いや‥、本当に開けていいのか?)
なぜ、こんなにあからさまなのに誰も気づかなかったんだ?開けたら、"ルール"を破るんじゃ?そもそも、天門なのだから、開けたら悪魔が出てくるんじゃ?‥‥
扉を開けようとするオレの手は震えていた。不安でいっぱいになっていた。そりゃそうだ、ここから先は全くの未知。何が起こるか分からないのだ。もしかすると、また死んでしまうかもしれない。やり直せないかもしれないのだから。でも‥
(でも、ここまで来て引き下がれない!)
オレは、強引に扉を開けた。不安を押し込め、扉の中に入り、乱暴に扉を閉めた。あまりにも、無作法で、周りを見ることもしなかった。
(やべぇな‥戻ってきたら、どうなることやら‥‥)
戻ってこれたらの話だけど。なんて、笑い飛ばす余裕は無かった。オレは、ただ震えていた。これから出会うであろう未知に。有象無象の恐怖に。
扉を閉めると、辺りは真っ暗だった。何も見えなかった。それこそ、暗視を使えば見えるものの。‥‥‥‥暗視?
「そっか‥」
思えば、オレはここに来たことがあった。そうだ、ここはオレが‥‥死んだ場所だ。
「てことは‥‥」
先に進めば、オレは悪魔と出会ってしまうだろう。理解しているのに足は止まらない‥。
オレは進む。進まなくてはならない。"真実"を知るために。
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