第38話 なんであいつらが‥!

オレたちは、天門の前についた。選別の日のここは、相変わらず人が多いらしい。

「ほれ、カアレよ。あそこに選別で選ばれた人達がいるぞ」

騎士長に言われ、5、6人ぐらいの集まりを見た。なるほど、あれが‥‥

「?!」

驚きのあまり、オレは集まりを指差して、騎士長に尋ねた。

「ね、ねえ!あの人達が、選別で選ばれた人?」

「?、何を言ってるんだ?あいつらに決まっているだろうに‥」

バカな、そんなはずは無い。選別は、優秀な騎士を選ぶ儀式のようなもののはずだ。なのに、なのに‥なぜクルスとシウラがいるんだよ!!

あいつらは、レイジを殺そうとしたのに‥!

「いや‥」

思えば、予兆はあったのかもしれない。オレが飛び込んで、未来を変えたから‥。あるいは、日記を読んだことも‥。

オレの行いによって、未来が変わった。本当は、師匠が選ばれるはずが、クルスとシウラが選ばれる未来へと変化したのだ。今思えば、今朝の師匠の落ち込みだって、納得がいく。

オレは、みんなに訴えかけようとした。あいつらが何をしたのかを。師匠の方が、優秀だと。

「み、みんな!きいてく‥‥」

「カアレ」

だが、オレの発言を師匠が直前で止めた。なんで、とは言えなかった。言うことが出来なかった。だって、師匠はまるで、オレの言うことを知っていたかのような顔だったから。

「カアレ、いいんだ。天使様が選んだのだから、それに従うほかない。それに‥」

「それに?」

「なんてったって、俺は切り札だからな!」

そう言って、師匠は周囲に聞こえるぐらい高らかに笑った。

「こら、タスクとカアレ。選別が始まったんだから、静かにしておけ」

騎士長に注意され、周りを見ると、すでに儀式が始まっていた。クルス一行が花輪を受け取っている間、オレ達は喋っていたらしい。高笑いしてた師匠って、すげー空気読めねーやつじゃん‥‥‥。

なんて事を考えている間にも、儀式は進んでいく。今気づいたが、この人混みじゃ裏口を探すタイミング無くないか?

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