第36話 <俺>2章

< 8.25

今日は選別の日。俺の師が選ばれたのだ。誇らしい。だが、今の俺にはどうでもいい。そう、見つけてしまったのだ。"この世界"を。

なぜ、選別なのか。なぜ、特強食なのか。

なぜ‥‥‥天使なのか。ふ、天使なんてよく言ったものだ。悪魔だらけじゃないか。

日記なのだから、この事実を詳しく記す必要はないだろう。でも、もし誰かがこの本を読むのなら‥‥‥、そうだ、地図を書こう。真実は、君の目で確かめるといいさ>

そこには、文字どうり地図が書いてあった。天門、つまり、選ばれた者だけが入れる場所の裏口の入り方だった。でも‥‥‥なんで裏口?なんでそんなもん必要なんだ?

それにしても、"この世界"とはなんだ?悪魔だらけとは、どういうことだ?オレはとうとうこの日記が分からなくなり始めた。

<そうだ。もし"出る"のなら、1人では無理だ。2人で行くがいい。そう、2人いなかったことが俺の失敗であり、間違いだった。さあ、俺は時がくるまで来るまで待とうか、それこそ、天使にでも祈って>

そこで、日記は途絶えた。"出る"の意味が分からない以上、オレにはどうすることもできないけどな。

オレはこの日記を読み、共感こそしたが、結果は、迷っただけだった。まあ、もしかすると、書いてたのは嘘かもしれないし、物語だったりするかもしれない。オレは恐怖心を忘れ、階段を上り、家に戻っていた。帰り道には、Xもいなかった。でも、帰る途中に感じた視線は、Xだったのかもしれないな。

いや、待て。視線を感じたって、誰かに見られてないか?いや、見ていたなら何かあるだろう。多分、オレの勘違いだな。

家では、なぜか師匠がいた。まずい。

「あ、あれ?師匠‥‥今日、罰は?」

「罰?何を言っている。今は何刻だ?」

え?今は‥‥‥2刻?!オレ、そんな長時間あそこにいたのか?!

「何をしていた。場合によっては、お前にも罰が、必要だな‥‥。」

花添えて、日記読んでました。なんて言ったら、何をされるか分かったもんじゃない。こういうときは!

「えっと‥‥‥。そう、トイレ!トイレに行ってたんだよ!」

そう、言い訳。見苦しいが、どうだ?これじゃ何も言え‥‥‥

「なぜ、家にあるのに外に出る必要があるんだ?」

あ、ダメでした。そういや家にあったっけ。次の言い訳を考えていると、師匠は許してくれたようで、

「まあいい。お前は罰に値する行為はしないだろう。なんたって、俺の弟子だからな」

と行って解放してくれた。まぁ、あなたの弟子は確実に悪い道に進んでいますが。

「はやく寝ろ、カアレ。なんたって、明日は重要だからな」

「明日?なにかあったっけ?」

「あれ?伝えてなかったか?選別だよ、選別。だから、はやく寝て、明日に備えろよ」

選別、そう聞いたオレは、あの日記を思い出していた。塔の裏口‥‥、地図は覚えている、試してみる価値はありそうだった。

さあ、確かめに行こう。この世界の真実を。


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