第35話 <俺> 1章
本?なぜ本が?‥‥。
考える間も無く、オレはその本をめくっていた。表紙には、<俺>と書いてある。なんの本だ?!すごい気になるな。さて、そこに書いてあったのは‥‥‥‥、
<8.21
俺の名は‥、いや書かなくていいか。誰が読む訳でもないし。日記をつけるのだって自己満足だ>
なるほど、日記か。てか、オレが読んでるんですけどね。
<俺は天使様から選ばれ、悪魔と戦う戦士らしい。修行はきつかったが、頑張っていこう>
やっぱ、みんなきついんだよな、アレ。わかるよ、その気持ち。お、右のページには、まだ続きがあるらしい。
<8.24
ひどい、間違っている。墓に手を合わせるだけで、殺されるというのか?何がいけないというのだ。そう思い、俺も墓へと出向くと、美味そうな花が。食うと不思議な感覚がしたが‥‥‥‥疲れているのだろうか>
この人も‥か。オレと同じ思いの人間は、案外たくさんいるらしい。てか、花?ひょっとすると、この人も‥‥。お、まだ続きか。
<8.25
今日は疲れている。出来事というと、変な奴に俺は殺された。でも、俺は生きていた。どういうことだ?確かに、俺は死んだはず。変な奴(クラルと名乗った)は、俺の話を、夢で見たの?と言って笑ってきた。でも‥‥‥
いや、本当に疲れているんだろう。修行ばっかりだったからな。明日の選別に備えて、ゆっくり休もう>
え‥‥‥。死んだのに生きてる?!それじゃ、まるで、あの時の‥‥‥。
こいつなら‥‥。オレは、この日記を書いた奴に会いたくなった。話がしたくなった。レイジに似た親近感を覚えたのだ。だって、境遇がオレと同じじゃないか。
さあ、次の日記は ‥‥‥‥‥。
いつのまにか、オレはこの日記に引き寄せられていた。あまりにも共感できて、面白くなってきたのかもしれない。
今のオレには、今が何刻だろうが、どうでもよかった。もう後戻りはできないところまで、足を踏み入れたのだから。
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