第34話 頭が追いつかない!
21刻。そう、勝負の時だ。オレは手に花を持ち、墓へと向かった。大丈夫、誰も見てないな‥‥‥。
歩みを進めていると、どこからか声がした。
「何をしている!」
うわっ、やべ!オレは瞬間的に物陰に隠れて、周りを見渡す。すると、修練場の方で見たことのある人が二人‥‥、
「何をしていると言っているんだ、レイジ。この時は、こうやって剣をふるんだ。みておけよ‥‥‥、」
そう、師匠とレイジだ。師匠がレイジに剣を教えていた。レイジはとても楽しそうにしていて、罰には見えない。ただの修行だった。
おっと、いかんいかん。目的を見失うところだった。早く墓に行かないと面倒だ。
周りをしっかり確認して、花を置こうとしたとき‥‥‥
「?、なんだ‥アレ」
オレは、墓の上に青白く光る奇妙な物体を見つけた。そいつは、ゆらゆらとゆらめいていて、目が回りそうだ。眺めていると、そいつは牢屋の方へと動いて行った。
「周りは‥誰もいない。手品とかじゃなさそうだな‥‥‥」
追いかけよう。なんだか、そう思ってしまった。もしかしたら何かあるのかも、なんて考えてしまったからだ。
光るそいつ(呼びにくいから、Xとしよう)と、追いかけるオレは、牢屋に着いた。Xは、どうするんだろう。壊すのか、入るのか、もしかしたら、人になったりして。
なんて思っていたのも、つかの間。Xは、地面を掘り出した。いや、掘ったとは違う。"転がって土をどけている"が正しいだろう。
少しすると、土の中から、ふたのようなものが出てきた。Xは、ふたもどけて、その中に入って行った。
いや、ちょっと待て。急展開過ぎないか?オレ、頭の整理できてないんだけど。
まあ、止まる訳にもいかないので、ふたの中に入った。夜の街頭でうっすらと見えるが、ここは下り階段のようだ。まったく‥‥、何がおこるんだよぉ、、
Xの後ろをついて行く感じで階段を降りているが、ここは本当に暗いし、怖い。Xの光なんて、ほんとに小さくて、前が見れるくらい。まさしく、前後不覚ってやつだ。後ろから急に掴まれたりしたら、気絶する自信すらあるよ‥‥あぁ、怖ぇよぉ。
だいぶ降りてきて、Xは止まった。何事かと思えば、目の前にドアがあったのだ。地下室‥のようなものだろうか?
すると、突然、
「¥&”:;-_.バダ‥‥‥」
ひいっ!Xが喋った!‥‥のか?そう言い残した(?)Xは突然消えた。それこそ、手品のように跡形もなく。てか‥‥オレ一人じゃん!
目の前のドア‥‥、これがオレの家につながってる、とかあったりしないかな?いや、あるんじゃね?そうだ!絶対そうだよ!な〜んて根拠の無い自信を並べて自分を安心させようとした。情け無い話だ‥。そして、オレはドアを開けた。開けてしまったのだ、開けちゃいけない地獄への道を‥‥‥。
まぁ当然、これが家につながっているはずもなく、あったのは"ただの"明るい個室。誰もいないし、机とその上に本が置いてあるだけだった。‥‥‥‥‥本?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます