第30話 頼まれる夕暮れ

日も暮れてきた頃。

「ねぇ、君の名前は確か‥‥」

「カアレです。あなたは‥レイジさん、ですよね?」

「そうだよ。僕はレイジ。呼び捨てにして構わないよ。」

「分かったよ。えと‥‥レイジ。」

ひと段落ついて、オレ達はやっと自己紹介をした。そこで、オレは気になっていた事を聞いた。

「あ、あの!レイジ、オレさあ‥‥、どこかで君と会ったことがあるんじゃないかな?」

そう。どこかで会ったはずなんだ。根拠は無いんだけど‥。

それに対してレイジは、

「え?‥‥‥そうだね。僕もそんな気がするよ、奇遇、っていうのかな。こういうの。」

返事が少し曖昧で、レイジもそう感じるのか、それとも、オレに合わせてくれただけなのか、オレには分からなかった。いつか、分かる日が来るのか、ただの勘違いなのか、はっきりする時は来るのかなぁ?

「なぁ、カアレ。僕からひとつ‥‥頼みごとをしても良いかな?」

「え‥別に構わないけど‥‥何?」なにかの縁だ。極力手伝ってあげよう。

「僕は夜にタスクさんから呼ばれていて、花を添えてあげられない。だから、君が代わりに行ってあげてくれないかな?」

「あぁ、全然良いよ‥‥‥‥え?」

今、なんて言った?!

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