第11話 運命
刻はまだ16刻らしい。ボクは修練場に戻り、師匠との修行に戻った。
でも、ボクは剣など振れなかった。あんなものを見て振れるはずがない。
それを見越してか、師匠は、
「‥終了だ。もう今日は休め」
そう言った。ボクは返事もせず、無気力に家に戻っていった。
「そうか‥‥じゃあ、俺は騎士長に報告に行くよ」
そして、師匠は騎士長の家へ向かった。
‥一人になってしまった。
まるで、死んでしまった若者みたいに。
「いや‥」
もしかすると、助けられるかもしれない。そうだ、生死の確認はしていないじゃないか。今手当てをすれば、若者は一命を取り留めるんじゃないか?!
根拠の無い自信を胸に、ボクは急いで、墓辺りに行った。助けられる、やっと‥なにか出来るんだ!
すぐに墓辺りに着いた。よし、これで助け‥
だが、そこにあったのは‥‥‥、
「あああああああああああああああ!?」
ボクは叫んだ。悔しさと悲しさのあまり、叫んだ。そこにあったのは、見たことの無いほど綺麗な墓と頭の形をした骨だった。
ボクが止めれば‥、あの時、足が動いていれば‥、なにか‥言っておけば‥‥!
そう考えるほど、後悔は増していく。
その刹那、ボクの頭に、"ボクより小さい金髪の男の子と可愛いという言葉が似合いそうで似合わない男の子"の姿が見えた。
「?、今のは‥」何だったんだ、そう思ったとき、墓の近くに花を見つけた。見たことも無い色だった、そして、とても美しかった。こんな時に花なんて見ている場合じゃ‥いや!待て!これは誰かが置いた花のはず。なら‥‥‥!
「これを隠せば‥もう犠牲は‥」ボクは花をちぎり、ポケットに隠そうとした。よし、これで大丈夫だ。もう、誰も犠牲にならない。そう安心した時、後ろから声がした。
「やっほー、カアレくんじゃん♪」
コノハか、と思ったが、ボクの体は正直で、馬鹿だった。思わず、その花を飲み込み胃の中に入れて隠したのだから‥‥。
でも、これはただの偶然なのか必然なのか、ボクの数奇な運命の歯車はこの瞬間、確実に回りだした。
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