第10話 葛藤
「シャアアアアアアア!!!!!!!!」
クルスは奇声をあげ、若者の左肩を殴った。
「ぐほぁ!!」
若者は苦しそうだ。でも、師匠は見つめたまま何も言わない。
ボクは止めに行こうとした。こんなこと、早く終わらせたい。そう思っていても、足が動かない。止めに行かなきゃいけないのに。
ボクが情けなく震えている間に罰とやらは続いていた。
最初は、反省だの償えだの言っていた二人は、もう遠慮などせずケラケラと笑いながら、いたる所を殴りつけていた。ボクには、もう止められない。もう‥‥ダメだ。
「ゲホッ!!」
気づくと、若者はもう何度目かわからない血を吐いた。そんなものを見せられているボクも意識が朦朧としてきた。
しばらくして、クルスとシウラは若者に、
「へへッ、これぐらいで勘弁してやるよ」
「これに懲りたら花なんぞ捨てるこった」
と言い放ったが若者の返事は無い。それもそうだ、体中血まみれで、髪も赤一色になるほどだった。生きているかすらわからない。
「お~い?レイジくぅ~ん?起きてるか~?」剣で体を揺らし、意識が無いことを確認し、去ろうとする二人に師匠は、
「ご苦労だった」
と言った、言ってしまった。これが師匠、タスクという人間だったらしい。その場を去る師匠についていくボク。
この時のボクには、"ルール"とか、正しさってものが何なのかよく分からなかった。
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