第9話 ルール
師匠は、辺りを見て、
「おい、貴様ら。ここで何をやっている。ここは修行の場所ではないはずだが?」
普段とは違う凄みの効いた師匠の声だった。だが、二人は笑いながら、
「いっや~、違うんスよ、タスクさん、この野郎がねェ、あろうことか夜に抜け出して墓の前に花なんかを置いてやがったんスよ~、だから俺らで罰をって。なァ?」
「そうっスよ。信じてくださいよォ‥」
と言った。たしかに、この金髪の若者は抜け出していたけど‥‥ここまでやる必要はあるのだろうか?
「金髪のお前、こいつらの言ったことは本当か?」
タスクが若者に問いかけた。
ここで、はい。なんて言ったら、何をされるかわからない、そんなことはボクでも分かった。でも、若者は
「はい‥本当です。クルスさんとシウラさんは、本当のことを言っています。私はその罰を受けているのです、ただ‥‥ぐはっ?」
何かを言おうとした時、それを遮るように、クルスと呼ばれた男は若者を踏みつけた。
「ほォ~らね?んじゃ再開といくか~?」
そう言い剣を構えた。なぜこんなことをするんだよ。やめろ、嫌だ、耐えられない。ボクは師匠に一生懸命訴えた。
「ねぇ師匠!!止めないの?死んじゃうよ!」
でも、師匠は、
「いや‥これは"ルール"なんだ。俺達には見守ることしかできない‥」
そう言う師匠の顔には動揺が見られない。むしろ、冷静だった。
そんな、ひどいじゃないか。"ルール"って何だよ‥そんなので人が死んだって良いっていうのかよ?!
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