第90話びょうのあいだに
ねこねこが発動した新たな魔法――――『超級魔法』。
『
本来、雷は帯電した積乱雲などの雲によって発生する自然現象である。
雷属性の魔法は、魔方陣で雲の代わりをしているようなイメージで発動するのだが、この超級魔法は違う。
詠唱破棄のスキルを使用しても発動時間までの時間は短縮されない特殊性があり、一度発動すれば魔法のエフェクトが消えるまで硬直してしまう。
がしかし、このデメリットを覆すほどのメリットがある。
それは、上級魔法以上の効力である。
『稲妻の供物』――上空に出現した雷から不規則で落雷する。この雷が大地に触れた瞬間、三パターンの効果からランダムに発動する。
一つ目は、モンスター召喚型。レベル九〇程度の
二つ目は、相手の全ステータスを四分の一にする。
にする。
三つ目は――
ねこねこ「ロイオの
スキル、魔法、特性の効果・発動を無効化するという魔法剣士にとって最悪の能力である。
落雷する回数は三度。この三度の内に最悪の能力が発動できるかどうかが、ねこねこの勝利を左右する。
だと言うのに、白い賢者は己が勝利を想像できた。
ねこねこ「勝てる……大丈夫」
あれほど離れていた距離を数秒で詰めてくる魔法剣士はもう怒っていない。
そのことがねこねこの胸中を僅かに揺らす。
ねこねこは平生のロイオには惜敗を味あわされているからだ。
ねこねこ「ぼくは……お姉ちゃんみたいには出来ないけど……ロイオと本気で向き合えるのはもうぼくしかいないから……」
いや違う。そんな言い訳染みたことじゃない。
姉の存在がこの決闘の発端だとしても、今のねこねこの本心を半分以上占めているのはそれではない。
ねこねこ「……この
純粋な勝ちたいという欲求。
何十回、何百回という勝負をゲームでやっているが、リアルで初めての勝負は白星スタートのほうが幸先がいい。
そんな気持ちから、ねこねこは笑ったのだ。
幼い頃から憧れた影でありながら、心の底から負かしたいと思った
対等な親友として。
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