ストーリー2~○○先生、デュエルがしたいです~

第71話おれはこういうキャラ

 ……やっと、終わった……。

 瓦礫の山を越えて、街の中に戻った俺。

 さて、活躍したヒーローに寄って集る女たちはいったいどこぞや?


オブ「ロイオさーん!」


 聞き覚えのある声一つ。

 大きく手を振って大層立派な鎧をガチャガチャいわせて駆け寄る我らがメインヒロインのご登場だ。


ロイオ「……終わってから来られてもなぁ……何してやがった?」


 もはや見慣れた美少女には俺の心拍は乱されない。

 皮肉を込めてイジワルしてみると、素直なお姫様にしては存外言いにくそうだ。


オブ「え、えーと……(言えない……ロイオさんに見られるから鎧を磨いてたなんて言えない……)」


 モジモジとブレストプレート(胸当て)をなぞる姿はちょっとエッチィな……。

 このお姫様、立派なボールを二つもお持ちなのだ。

 ムッツリスケベといいたければ言うがいい! 俺は表クールキャラが好きなんだよ。楽なんだよ。てか、素なんだよ。


ロイオ「言えないならいい。それより、謝っとく。門壊しちまった」


 背後の崩壊した門だったものを指差して頭を軽く下げると、オブはブンブンガチャガチャと両手を広げて否定した。


オブ「いえ、ロイオさんがご無事なら全然問題ありません!」


 俺が壊したわけじゃないんだが……そこまで言われると照れを通り越してちょっとヒくぞ?


ロイオ「そ、そうか……えらく食いついたな……街の中はどうだった?」


オブ「そちらは山田さんとクワトロ・フルールの方々が対処してくれたようです……ですが……犠牲者も」


 さっきまでのテンションはどこへやら、人の死をそこまで切り替えて悲しめるこの領主はやはりいい人間なんだと思う。

 俺は、同調して腕を組んだ。


ロイオ「そうか……あんまり面識がないとはいえ、そいつらをどうにかして生き返らせたいところだな……」


オブ「ロイオさん……お優しいですね」


ロイオ「べつに。とにかくこれからどうする?」


オブ「エノがセアラたちのところまで言ってくれましたが……来てないようですし、一先ずは皆さんと合流しつつ、街の様子を見ましょう。まだモンスターがいるかもしれませんし」


 油断はできないってわけだな。外の敵は全滅させたが、中の方はあいつ等が上手くやってるはずだ。……サボってなければ片付いてるはず。


ロイオ「そうだな……俺は疲れた。戦闘になったら頼むぞ?」


 割と真面目に疲労が溜まっている。

 思えば、異世界に来てから休日らしい休日もなかったな……。あれ、異世界って意外とブラック企業かなんかか?

 だとしたら、早々にニートになりたいんですけど。

 俺の発言を期待と捉えたんだろう、姫様は意気込んで剣を掲げる。


オブ「任せてください!」


ロイオ「そのピカピカの鎧が砕けるまでかんばってくれ」


 落ち着けというつもりでひねた言葉を選んだが、別の意味で伝わったようで――


オブ「そ、それは流石に……恥ずかしいですね。鎧の下は薄着なので……」


 まるで俺が、脱げ、といっているようじゃないか。


ロイオ「そういう意味の発言じゃない」


 疲労から切れの悪い突っ込みにしかならなかったが、このド天然痴女にはどの道伝わらないだろうなぁ……。

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