第43話じょうほうしゅうしゅう

ねこねこ「どうすればレベル上限解放できるんだろう?」


ロイオ「こんなの体験版とかだけの仕様だと思ってた……」


山田「なんか特殊な条件でもあんのか……」


ねこねこ「でもさぁ、ステータスがカンストって凄くない? ぼく、MPと魔攻の数値がとんでもないことになってるよ」


ロイオ「レベル一五で到達する数値じゃねぇしな。」


山田「やっべぇな、にやけちまうぜこのLUK。アイテム盗み放題じゃねぇか……」


ゼウス「知らん。とにかく情報が足りん。ロイオ?」


ロイオ「なんですか? パシリですか?」


ゼウス「領主に訊いていないか?」


ロイオ「聞いてません」


ねこねこ「ぼくが訊いてきてあげるよ!」


山田「なら俺はこの街を散策してみるぜ。もしかしたらイベントがあるかもな!」


 行動派二人がギルドから駆けて出ていくと、取り残された俺と脳筋さん。


ゼウス「ロイオ。気になることがある」

ロイオ「奇遇ですねー俺もですよ」


 残っていたお冷を一気飲みして立ち上がるゼウスさんと、剣を納めた鞘を持って立つ俺。


ロイオ「あの二人に任せると……変な方に話しが進みそうだ……」


ゼウス「お前はねこねこを追え。俺はあのバカが一人でどこまでできるか眺めてから合流する」


ロイオ「試さないでさっさとバカを回収してください。街の人に迷惑ですから」


ゼウス「仕方あるまい……」


ロイオ「所有者の義務ですよ。あ、そういえばゼウスさん」


ゼウス「なんだ?」


ロイオ「なんで百人斬りなんてやったんですか?」


ゼウス「なに、大した理由じゃない。お前達が寝ている間に俺たちが領主から報酬を貰ったのは知っているな? その帰り道のことだ」


 思い返しながらめんどくさそうに語り出すゼウスさん。


ゼウス「街の冒険者たちが俺たちにケンカを売ってきた」


ロイオ「はい? またなんで……」


ゼウス「……この街の者たちは皆、領主を尊んでいる。口々にこう言っていた、『ソフィア様に対して、口の利き方がなっていない』『あの方の邪魔をするな』」


ロイオ「……」


 聞いていた話との食い違いに俺は黙って驚いていた。

 現領主は、民衆に慕われていないと言い、その民衆は領主を尊んでいる。


ゼウス「俺たちにとって、そんなことは興味もない。それに邪魔をするなというのには腹が立ってな……ろくに事情も知らない雑魚共にお灸を据えてやった」


ロイオ「ゼウスさん、俺、ねこねこの後追います……」


 返事の代わりにそう言うと俺は、早足で歩きだす。


ゼウス「ああそうだ、ギルドを出て左の角……通らないほうがいい」


ロイオ「え?」


 予期せぬ一言に足を止めると、俺を追い越して颯爽と出て行くゼウスさんは、俺の疑問を解消してくれなかった。

 なんですか、未成年は入っちゃいけない店でもあるんですか?

 行きますよ、行っちゃいますよ。

 ……怖いから行かないけど。


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