第42話しょじきんかんり
帰ってきたギルドの酒場。集結した初期パーティーメンバー。
今からやることは実にシンプルだ。
山田「さぁて……栄えある異世界転移も三日目だ。今やることは――」
ねこねこ「ぼくらはオブお姉ちゃんから五〇万ウルズ貰ったー」
ゼウス「俺たちは腕試しをやって二五万ウルズ稼いだ」
ロイオ「あんたら……一体何人倒したんだよ……」
山田「華麗にスルーかよっ! 指揮らせろよ!」
ロイオ「えー」
ねこねこ「えぇー」
ゼウス「黙って逝ね」
山田「一人だけマジ声じゃん……」
山田が一人でビビってる中、俺たち三人は机の上に大量の金貨を袋ごと置く。
それを見て顔が輝き出した山田は中身を確認する。金好きめ。
山田「おぉー! 中々のセレブじゃね? 俺たちセレブじゃね?」
セレブ連呼するやつに限ってセレブじゃねぇ。
ゼウス「この世界の通貨は大体、『Noah』と同じだ。様々な店を見て回ったが、変に感じることはなかった」
ねこねこ「へぇー、ただマッチョさんたちをねじ伏せてたわけじゃなかったんだ」
凄まじいほどのマッチョをねじ伏せてたよな。特に俺らが見たあの大剣マッチョさん。顔が地面にめり込んでたしなぁ、生きてるかな。
マッチョの安否に不安を感じたフリをした俺は、財布改め袋を覗き込んで少し落胆する。
ロイオ「『Noah』と同じなら、言うほど儲けてないな」
山田「バッカロイオ! 日給で考えろよ、二日で七五万だぞ? つまり一日二二万五千だぞ! そこら辺の初任給並みだぞ!」
ロイオ「……まさか山田にバカって言われるなんて……心外だ」
ねこねこ「だぞ、が多いのバカっぽいよねー」
ゼウス「……(無視)」
山田「お前らなぁ! 後、ゼウス、せめてなんか言えよ!」
ゼウス「……(無視)」
山田「ゼウス! コラテメェ表出ろやぁ!」
今にも掴みかかりそうな勢いで机に片足を乗せる山田。行儀わるいぞー。
それに引き換え……当のゼウスさんは、何やら自分のステータスを確認していた。
ゼウス「ロイオ、ねこねこ。お前達、今レベルはいくつだ?」
ロイオ「え……一五だけど?」
ねこねこ「大分上がったよねー」
ゼウス「EXP、カンストしていないか?」
ロイオ「そんなわけ……あれ?」
ねこねこ「ホントだ。マックスになってる……睨んでないで山田も見てよ」
山田「あ? あー……確かにな」
全員漏れなく経験値が上限に達しているようだった。
ゼウスさんが悩ましい顔で額に手をやる。
ゼウス「レベルキャップなのか……?」
ねこねこ「でも、たった一五で……おかしくない?」
山田「バグか?」
ロイオ「ここはリアルだしな……このステフォンのバグならあり得るけど」
そう言っても、全員カンストされてるのはおかしい。
ゼウスさんの言う通りレベルキャップと考えるのが妥当だろう。
それに、職業的に高いステータスの数値が特に異常だ。
俺の物攻と魔攻がとんでもないことになってるのは魔法剣士が元々高いからかもしれない。
まあ、異常なのに変わりないけどな。
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