第41話ニートたちとゆりなおんなたち

オブ「どうぞ、これが今回の報酬です」


オブから大量の金貨が入った袋を貰うと、ねこねこがその袋の中を覗き込む。


ねこねこ「わぁー! これでいくらくらいなの!?」


セアラ「五〇万ウルズだ」


ねこねこ「ウルズ? 日本円で言ってよー」


セアラ「知るか! 少しはこちらの世界のことを勉強しろ!」


ロイオ「痴話げんかなら他でやれ。オブ、またなんかあったら言ってくれ」


 金稼ぐから。


オブ「はい、その時はよろしくお願いします!」


 あーやっぱ美人の笑顔はすごいなー。すごすぎて直視できない。


ロイオ「お、おう……またな」


ねこねこ「デレてるー」


ロイオ「うるぅせぇ!!」


ねこねこ「はいはい、屋敷の中だから静かにねー」


ロイオ「お前にだけは言われたくねぇ……」


 昨日もさっきもあんだけセアラと騒いでたやつにはな。

 腹立つ感情を抑え、ねこねこを引き連れて屋敷の外へ向かう。

 とりあえず山田たちのところに戻るか。


セアラ「外まで送ろう。よろしいですか、姫様?」


オブ「ええ。お願いね」


ねこねこ「あれー? そんなにぼくと離れたくないのぉ?」


セアラ「ああそうだな。でないと貴様の首を斬れんだろう? ふっふっふ……」


ねこねこ「ロイオ! 殺人鬼が現れたよ!」


ロイオ「ああそうだな。うるさいお前を黙らせてくれる。けっけっけ……大歓迎」


ねこねこ「ロイオぉ⁈」


セアラ「黙れ、歩け」


 背中を蹴られるねこねこは静かになって歩きだした。

 その始終をオブは、相変わらずの笑顔で眺めていた。


 笑顔が標準ならこの姫様はさぞや辛い過去があって乗り越えたんだろう。

 聞いた話よりもっと苛酷な過去が。

 笑顔が癖になってるヤツってのはどいつもこいつもそういうヤツだ。

 目の前のちびっこがそうであるようにな。


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