第21話シロですね。ハイ。

 氷となったゾンビが砕けて消えると爽快に感じる。腐った屍体が蟻の群れみたく覆っていた大地が明るみになったらそう感じるのは万人がそうだろう。

 馬車の近くまで逃げて、一息ついている今現在。文字通り、一息を吐く。


ロイオ「ふう……見事に一掃しやがったな」


セアラ「私たちごと……やるつもりだったのか」


 凍り付いたゾンビの群れを目の当たりにしてからというもの、セアラはどこか怯えているようだった。


ロイオ「アイツは、寝起きが悪いんだ。今回のはまだマシだよ。俺たちが逃げるまでわざわざ詠唱して、待ってたんだしな」


 いや、アイツのことだ。

 中二病全開で楽しんでいたかもしれん。

 こう思うのはセアラも同じようで、俺の発言を批判的に返す。


セアラ「待っていたのか、あれは?」


ロイオ「山田は後ろからあれを浴びたことだってあるんだぞ」


セアラ「よく生きているな……」


 ゲームの中だからな。

 それにしてもねこねこは上級魔法を撃てるまでにMPが上がっていたのか。知らなかった。


ねこねこ「……うー、動けない……」


 倒れた賢者に心配して駆け寄ると、顔だけ起こしてドヤ顔をアピールしてくる。

 キラキラと星が光ってるように見えるほどのドヤァ顔。


ねこねこ「起きたら、レベルが上がってて、MPがちょうど上級魔法一発分になってた」


ロイオ「……ったく、それは俺とセアラが稼いだ経験値だ」


オブ「魔力を使い果たしたんでしょう。しばらくねこねこさんは動けませんね」


 と、馬車に半身を隠しながら教えてくれるひょっこりオブさん。

 ほんとに、なにされたんだよ……俺が思っている以上のことか?

 顔を真っ赤にした主を見て、セアラが倒れているねこねこの背中を踏みつける。


ねこねこ「イタ……なに? 今ものすごく疲れてるんだけど?」


セアラ「貴様、姫様になにをした……?」


ねこねこ「さぁ。寝ぼけてたから」


セアラ「自認したということで貴様を殺す」


ねこねこ「……勘弁して……もうほんとに」


オブ「だ、大丈夫よ……セアラ。ねこねこさんもわざとやったわけじゃないでしょうし……それに、ちょっと舐められただけだから」


 どこを? 


セアラ「…………やはり殺す」


ねこねこ「ロイオー……この人、白だよー」


セアラ「殺すっ‼」


 パンツの色ですね。そりゃそうなるよ。わかりますともええ。白って清純っぽいよね。でも、たまにウソ言うから気を付けよう。まあ反応的にホントっぽいけど。


 あ、ヤバイ。

 ねこねこを踏んづけている美脚を目の保養にしてると俺まで睨まれ出した。


 殺されたら「くっ殺せころ!!」を遺言にしよ。






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