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「はぁ…なるほど。」


小野崎は、これは話が長くなりそうだと予想し、若い男の話に耳を傾けながらデスクの上に散らかっていた資料を片付け始めた。


「じゃあ”副社長”がそう考える理由ってなんなんすか?」


副社長…どうやらこの若い男は、この事務所の副社長に当たる人物のようだ。

…外見の幼さからしたら、誰も信じてもらえそうにないが。


「…………理由?」

「はい。理由。」

「………いや、普通に考えて再犯はやばいでしょ。」

「いや、俺は再犯が起きた方が犯人逮捕に繋がるヒントが得られると思いますけど。」

「…。」


思わぬ小野崎の冷静な返答に、若き副社長は固まった。


「人間って、同じことを何度も繰り返してると慣れるとか言いますけど、逆もまた然りっつってね…ボロが出ると思うんすよ。1回目は上手く証拠も残さず、アリバイも完璧に犯行を行ったとしても、2回目3回目と同じ事を何度も繰り返しているうちに自分の計画は完璧だとか、これなら確実にバレないだとか自分に自惚れて調子に乗って隙が出来るんじゃないかってね。俺は思うんすよ。人間調子に乗ると、結果ろくなことになりませんし。」

「…けど、そのヒントとやらを得るためには被害者が増える…被害者はそのヒントを得るための代償ってことになるけどそれについてはどう思う訳?」


若き副社長は、少々不服そうに訪ねた。


「それは…まぁ……そもそも犯人が捕まってなくて再犯が起こってしまうのは仕方がない事っつか…未解決事件で終わっているなら、何かしらの動きがあった方がそりゃあ真犯人に近づける可能性が高くなるんじゃないすか?つかそもそもこの話って、再犯が起こる事は恐ろしいって話っすか?妊婦切り裂き事件の犯人はイカれてるって話っすか?それとも未解決事件とは何ぞやって話っすか?」

「……。」

「…。」

「………小野崎君…。」

「はい。」


若き副社長は、すぅっと息を吸い込み、ゆっくり吐くと、真剣な面持ちで小野崎に向かってこう言った。







「…俺より、頭良さげに喋るの、やめて。」


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