196
小さな船宿。
灯籠の灯りに照らされた遊女は、妖艶な笑みを浮かべ男の上になる。
「これは……おなごの身で大胆でござるな」
「女に上に乗られるのは、お嫌ですか?」
「それもまた……おつなもの」
男が女の帯をほどく。
女は男の首筋に唇を這わせた。
「わちきがそなたに永遠の命を差し上げましょう。そのかわり、わちきを……徳川家康殿に逢わせて下さいな」
「徳川殿に?遊女が天下の武将徳川殿にお目通りを願い出るとは……」
「どうしても、豊臣を潰さなければなりませぬゆえ」
「これは面白い、遊女が豊臣を……?うう゛……あぁー!!」
遊女は大きく口を開け、男の首に鋭い牙を突き立てた。
「わちきの名は……
女は再び男の首筋に喰らい付く。男は全身の血を吸われ、女の傍で痙攣している。その姿を冷たい眼差しで見つめながら、美薗は平成の世を思い出していた。
◇◇
【美薗回想】
――平成の世――
美薗は十二世紀のヨーロッパからタイムスリップした吸血鬼に襲われ、吸血鬼へと化身していた。
そして新たな血を求めジョエルの屋敷に潜んでいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます