―戦国時代 茶々姫vs吸血鬼―
194
――天正十六年――
「誰じゃ!」
殺気を感じた茶々は、枕の下に忍ばせた小刀を掴み引き抜いた。目の前には黒い覆面を纏ったくせ者の姿!
くせ者は刀を抜き茶々に斬りかかり殺害を謀ったが、茶々は瞬時に飛び上がり身を交わす。
「北ノ庄城でわたくしを襲ったくせ者であるな!わたくしを誰と心得る!豊臣秀吉の側室なるぞ!顔を見せるのじゃ!」
くせ者は刃先を向けジリジリと茶々を追い詰める。
茶々は恐れることなく小刀で、くせ者の覆面を斬り裂いた。ハラリと黒い布が畳の上に落ち、額からツーッと血が滴り落ちた。
畳の上に小さな血溜まりができる。
「……お……花」
「顔を見られては仕方がない。茶々姫、死んでいただきます!あなたは吸血鬼と人間の混血、ダンピールなり!我ら一族の敵!この世は我ら一族が支配し、我らの姫君こそがこの国の天下人となるのじゃ!」
「我らの姫君とな!?」
「今は遊女へと姿を変え、その時が来るのを待っておられるのじゃ!」
「遊女じゃと?」
「そなたは死ぬが定め、そなたが子をなしても、育ちはしない。そなたは人間ではないのだから!」
「わたくしは浅井長政とお市の娘、吸血鬼などとは無縁じゃ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます