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「ジョエル様の言われることだから真実でございましょうが、難しいお話でわからないことだらけです。その未来で俺達はどうなったのですか?」
「俺達は人間にヴァンパイアだと知られ、殺されかけた」
「二十世紀でも吸血鬼退治ですか?タイムスリップする意味などないですね。殺されかけたってことは、助かったんですよね。ジョエル様がこの地にお戻りになったのですから」
「セバスティはもうタイムスリップしてはいけない。セバスティは吸血鬼退治に巻き込まれてはいけないんだ」
「なぜです?時空とやらを超え、未来へ行ってみたいものです」
セバスティは俺の話を信じていないのか、ヘラヘラと笑っている。
「セバスティ冗談を言っている場合ではない。セバスティは……日本にタイムスリップすれば死んでしまうんだよ」
「この俺が……死ぬ!?」
「俺はセバスティを死なせたくはないのだ。二十世紀の日本に、この地から他にもヴァンパイアがタイムスリップしている。誰なのかわからないが、そいつらのせいで俺達は無実の罪で人間に襲われた」
「なんと……」
俺は未来の日本で起きた様々なことを、セバスティに詳細に語った。
「俺はお父様やお母様を救いたいのだ。ルーマニアには同族が沢山いると聞いた。みんなで逃げてくれ」
「逃げてくれ?ジョエル様は行かれないのですか?」
俺はイチと顔を見合せる。イチはコクリと頷いた。
「いや、行くよ。連れて行って欲しい。もう一人の俺を」
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