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「失礼いたします。ジョエル様、絶食などして死ぬおつもりですか?」


「吸血鬼は絶食では死なないよ。お前もそれくらい知っているだろう」


「いえ、何も食さなければ、干からびた蝙蝠のように死んでしまいます。狩りに行きますよ。獣の狩りです。イチ様それならばよいでしょう」


「セバスティ、イチをこの城で一人には出来ない」


「大丈夫です。公爵様も公爵夫人も人間狩りに行かれました。召し使いにはこの部屋には入るなと、申し伝えてあります。さぁ参りましょう。イチ様、暫くジョエル様をお借りしますよ」


「はい」


 セバスティはジョエルを連れて寝室を出る。わたくしは一人残され、少し心細かった。


 ジョエルとセバスティが部屋を出て一時間後。寝室のドアがノックされた。


「ジョエル……?もう戻ったのですか?」


 ドアを開くと、美しき殿方が立っていた。初めて見る殿方……、どことなく面影がジョエルに似ている。


 金髪……青き瞳……。


「はじめまして、俺はブラム ロイド。ジョエルの従兄だ。ジョエルに婚約者が出来たと聞いて、城に駆け付けた。みんな出掛けたようだね。人間狩りかな?」


「……はじめまして。わたくしは市と申します。日本から参りました」


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