178
「失礼いたします。ジョエル様、絶食などして死ぬおつもりですか?」
「吸血鬼は絶食では死なないよ。お前もそれくらい知っているだろう」
「いえ、何も食さなければ、干からびた蝙蝠のように死んでしまいます。狩りに行きますよ。獣の狩りです。イチ様それならばよいでしょう」
「セバスティ、イチをこの城で一人には出来ない」
「大丈夫です。公爵様も公爵夫人も人間狩りに行かれました。召し使いにはこの部屋には入るなと、申し伝えてあります。さぁ参りましょう。イチ様、暫くジョエル様をお借りしますよ」
「はい」
セバスティはジョエルを連れて寝室を出る。わたくしは一人残され、少し心細かった。
ジョエルとセバスティが部屋を出て一時間後。寝室のドアがノックされた。
「ジョエル……?もう戻ったのですか?」
ドアを開くと、美しき殿方が立っていた。初めて見る殿方……、どことなく面影がジョエルに似ている。
金髪……青き瞳……。
「はじめまして、俺はブラム ロイド。ジョエルの従兄だ。ジョエルに婚約者が出来たと聞いて、城に駆け付けた。みんな出掛けたようだね。人間狩りかな?」
「……はじめまして。わたくしは市と申します。日本から参りました」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます