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「いえ……わたくしもお伴致します。勝家殿と一緒に……。お花、三人の姫と共に秀吉の元に戻るのじゃ」
「お市の方様も、どうかご一緒に……」
「わたくしは行かぬ。羽柴秀吉の元には戻らぬ。勝家殿と共に逝きまする」
「お市の方様……」
「母上様……嫌でございます。羽柴秀吉の元に戻るなど、嫌でございます。秀吉は父上の敵、絶対に戻りませぬ」
「茶々、我が儘を申すでない。浅井の血を絶やしてはならぬ。浅井の血を後世に残すのじゃ。母の代わりとなり妹達のことを頼みますよ」
「母上様ー!」
わたくしは泣き叫ぶ三人の姫を、お花や侍女に委ね、勝家とともに城内に籠る。
勝家は北ノ庄城に火を放ち、わたくしと向かい合い、刀を抜いた。
「お市、本当にこれでよいのか?」
「はい」
勝家殿は着物の前を緩め、腹に刀を突き立て、一気に切り裂いた。赤き血に染まりながら、目の前で果てる勝家殿を、わたくしは目を逸らすことなく最期を見取る。
涙で濡れた頬……。
わたくしも小刀を抜き、首に刃先を当てた。
勝家殿の放った炎は、パチパチと火の粉をあげ、柱や天井をも炎に包む。
瞼を閉じ、グッと手に力を入れる。
――と、その時……
わたくしの手首を、大きな掌が掴んだ。
「死ぬな。死んではならぬ」
「……丈!?」
「イチ……、俺と共に生きるのだ」
「どうして……ここに……。いつ、この城にまいったのじゃ」
「俺はずっとイチの傍にいたよ」
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