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戦国の世、わたくしの意見など通るはずもなく、丈を打ち首にすると秀吉に脅されたわたくしは、丈の命を救うために、柴田勝家の元に嫁ぐことを承諾した。
柴田勝家の元に嫁ぐ前日、わたくしは侍女の目を盗み、丈と密会する。丈はわたくしの再婚を知り、心を痛めていた。
「イチ……俺と一緒に行こう」
「何処に行くのです?」
「異国の船に乗り込み、外国で暮らすのだ」
「三人の姫を残し、そのようなことは出来ませぬ。そのようなことをすれば、わたくしだけではなく、三人の姫の命まで危ぶまれます」
「イチ、柴田勝家の元に嫁ぐつもりなのか?」
「嫁ぎとうはない。されどこれもわたくしの定めにございます」
イチは俺にみつ指をつき、頭を垂れた。
「最後に……わたくしを抱いて下さい。一夜だけ丈の正室として抱かれとうございます」
「イチ……お前は俺の妻だ。今もこれから先も、俺の妻はイチだけだよ」
「……丈」
わたくし達は互いを求め合った。柴田勝家と
わたくしの首筋に唇を近付け、強く吸うとチクリと甘い痛みが走る。
この痛み……
以前にも……どこかで……。
夢の中で……殿方が……
わたくしに……
同じことを……。
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