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「城下での流行病はやりやまいでございますね」


「そうじゃ、幽霊との話もあるが、ちゃんと二の足は揃っておるそうじゃ。その後、奥方はすぐに懐妊し赤子は原因不明の病で死す。そのような事例があちらこちらにあるらしい」


 まるでヴァンパイアの仕業のようだ。夜しか行動出来ない俺達。しかも人間との間に子を儲けた場合、その赤子は育たない確率が高い。


 無事に成長しても、その子はヴァンパイアハンターとなる。人と吸血鬼の混血。その身は死んでしまうと吸血鬼に……。


 馬鹿馬鹿しい。

 この戦国の世に、俺以外にヴァンパイアが存在するはずはない。


「もののけや悪霊の仕業という噂も……」


「殿はご存知で?」


「家臣から聞き殿も気味悪がっておった。茶々や初に厄が起きはしないかと、心配でならぬ。丈、少し調べてくれぬか?」


「わたくしがですか?」


「そなたしか頼めぬゆえ。織田徳川軍の策略やもしれぬ」


「策略?」


「浅井を撲滅するための策略。この城下に疫病を流行らせ、同盟軍から孤立させる企みやもしれぬ。兄上ならばやりかねぬこと……」


「まさか殿がそのような恐ろしいことをするとは思えません。それを証拠に、殿も姫君を案じておられました。それゆえに、何度も祈祷をしたではありませぬか……。お市の方様、この件はわたくしが秘かに調べてみます」


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