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 ◇◇◇


 翌日、新聞やニュースで、この事件は大きく報道された。バーニャ大学は事件の報道を受け、数日間休校することとなった。


 ―深夜零時。バーニャ酪農大学―


「ねぇ知ってる?」


「春乃のこと?」


「ジョエルの屋敷に放火したらしいよ」


「へぇ、マハラ殺しも春乃らしいね。春乃のお姉さんマハラと付き合ってたんだって。春乃はお姉さんを自殺に追い込んだマハラを恨み復讐したみたいよ。ふふっ、バカだね」


「春乃が連続殺人犯だったんだ。ジョエルの屋敷を放火したのも、イチに嫉妬して、無理心中したって噂もある」


「無理心中?人間って死ぬんだね。でも春乃以外の死体は発見されなかった。骨まで焼き尽くしたのかしら」


 クスクスと女性の笑い声が牛舎に響く。


 金色の髪、赤いマニキュア、赤いピアス。彼女達の足元には数頭の仔牛の死骸。


「春乃のせいで、沢山の人間が死んだ。どうせ死ぬなら、マハラを先に吸血しておけば良かったわ。せっかく我慢したのに」


「まだチャンスはあるわよ。餌になるべき人間はこの国に後万ごまんといる」


 牛舎の外で人の声がし、バサバサと音を鳴らし二匹の大蝙蝠が夜空に飛び立つ。


 死んだ仔牛の傍には、赤いピアスがひとつ地面に転がり、赤い光を放っていた。

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