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「もうこの地に住むのは危険だ。明日の夜この地を去ろう。明日にはセバスティも動けるようになる」
「ジョエル様、イチ様はどうなさいますか?」
「イチは……人間だ。連れて行きたいが、巻き込むわけには行かない。イチにはこの屋敷と、この国のお金を渡し、ここに残す」
「ここに……たった一人で……」
「ほとぼりが冷めたら、迎えに来ることも可能だが、今は事件に巻き込むわけにはいかない」
「……本当にそれでよいのですか?イチ様に永遠の命を与え、一緒に旅立ちましょう」
「それだけは出来ないよ」
俺はセバスティの傷が完治したことを見届け、イチの待つ寝室へと戻った。
イチは不安そうな顔で、ベッドの上に座っていた。
「イチ……」
イチの頬に触れると、華奢な体が一瞬強張る。
「イチ?どうした?」
「……ジョエル」
俺を見上げたイチの唇を奪う。
そのままベッドへと崩れ落ちた。ベッドのマットが軋み、俺達は何度もキスを交わし愛を確かめ合う。
「イチ、俺とセバスティはヨーロッパに戻る事にした」
「ヨーロッパに……?」
「留学はもう終わりだ。イチはこの屋敷に残るがいい。この屋敷は自由に使っていいからな。この国のお金も書斎のクローゼットの中に、何億も用意してある。それを使えばこの国で一生暮らしていけるはずだ」
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