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俺は鼠から人間の姿に戻り、籠の扉を開けようとしたが、扉には南京鍵が掛かっていた。
「セバスティ、すぐに出してやる」
鍵を壊そうと、近くにあった金槌で叩いたが、鉄製の籠はビクともしない。
「くそっ!」
『ジョエル様……危険を犯して来て下さったのですね』
「セバスティ、当たり前だ。籠のままこの屋敷から連れ出してやる」
俺は鳥籠を掴み、地下室の入り口に向かった。ドアに手を掛けた時、コツコツと床を鳴らす足音が響いた。
『……ジョエル様、ヤツです。隠れて……下さい』
俺は鼠の姿に戻り、物陰に隠れる。ギーッと鈍い音がし、室内にマハラが入って来た。
歪んだ鳥籠の扉と、コンクリートの床に転がる金槌を見て、マハラはニヤリと笑うと鳥籠を掴み地下室を出る。
地下室の上にはマハラの書斎があり、マハラはデスクの上に歪んだ鳥籠を置き、開け放たれた地下室を見据え、低い声で叫んだ。
「出て来い、ジョエル。鳥籠の鍵が欲しければくれてやる。貴様がそこにいることはわかっているんだ。早く出て来ないと大蝙蝠の心臓にナイフを突き刺すぞ」
バサバサと音がし、大蝙蝠の悲鳴ともいえる鳴き声が「キーキー」と響いた。
俺は覚悟を決め人間の姿に戻り、地下室の階段を上がる。
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