ジョエルside
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「ジョエル、お帰りなさい」
「ただいま。イチ、セバスティを見なかったか?」
「ご一緒ではなかったのですか?」
「昨夜から戻って来ないんだ。何かあったのかな」
不吉な思いにかられながらも、俺達は大学へと向かう。大学へ行くと、マハラが不敵な笑みを浮かべながら、俺に近付いた。
「よう、ジョエル。昨夜面白い生き物を捕まえた」
「面白い生き物?」
「普通の蝙蝠よりも、数倍大きな蝙蝠だよ。牙も鋭く人を噛み殺しそうなくらい立派な大蝙蝠だ。罠を仕掛け地下室に捕らえているのだか、大蝙蝠は太陽の光に耐えられるかどうか、明日実験をしてみようと思っている。陽当たりのいい二階のバルコニーに、日中吊るしてやろうかと思うんだが、ジョエルどう思う?」
「……実験だって!?」
「そうだよ。蝙蝠の生態を観察するのさ。お前も昼間見に来るか?大蝙蝠が苦しみながら死ぬところを」
マハラはニヤニヤ笑いながら、言葉を続けた。
「そういえばセバスティはどうした?いつも二人一緒なのに珍しいな。休みか?それとも来れない理由があるのかな?」
「セバスティは体調が悪く家で休んでいる。イチ、席に着こう」
「はい」
マハラが捕らえた大蝙蝠は、間違いなくセバスティだ。セバスティを救い出さなければ、マハラの手により太陽の光に晒されてしまう。
「イチ、俺は急用が出来た。次の講義は一人で受けてくれ。いいね」
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