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寝室を出た俺はリビングに入り、暖炉の奥にある隠し扉を開けた。
地下に通じる階段を降りると、セバスティが俺を待っていた。
「ジョエル様、陽が昇る寸前ですよ。危ないことはお止め下さい」
「わかっている。イチが泣いていたんだ。ほっておけなくて……」
「ご自分のことをわかっておいでですか?俺達はヴァンパイアなのですよ。太陽の光を浴びるとどうなるか、ご存知でしょう。そんなにイチ様が心配なら、吸血してヴァンパイアにしてしまえばいい。そうすれば、永遠に一緒にいられます。ジョエル様が出来ないなら、俺がこの手でイチ様を……」
セバスティが「カーッ」と口を開け、牙を見せる。
「よせ、セバスティ。イチに手を出したら、この俺が許さないからな」
「はいはい。わかっておりますよ。でも、何故イチ様は泣かれていたのでしょう?寂しかったのでしょうか?ジョエル様が恋しくて泣かれていたとか?人間を本気にさせるとは、流石ジョエル様でございますね。亡き公爵様も沢山の人間を泣かせてこられました。血は争えませんね」
「こらセバスティ、俺をからかうな。俺は父とは違う」
俺達は地下室に置かれた黒い棺を開け中に入る。イチの涙の理由がわからず、俺は棺の中でなかなか眠りにつく事が出来なかった。
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