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「ジョエル、新聞読んだ?家畜殺しの犯人はオルガだったのよ。現代の世に吸血鬼はやっぱりいなかった。オルガは人間だったんだ」
美薗は興奮ぎみに俺を見上げた。
「……そうだな。しかしオルガが何の為に動物の血を?」
「これは噂だけど、カルト集団に入っていたらしいわ」
「カルト集団?」
「邪教の教団に入ってたみたいよ。悪魔の儀式に、動物の生き血が必要だったらしいわ」
「まさか……」
オルガはあの時、『仔牛を守りたい』と俺達に言った。悪魔の儀式のために、仔牛の生き血を抜き取ったとは思えない。
大体、一滴残らず採取するなんて人間には不可能だし、あの時オルガは採取した血液を所有していなかった。
「美薗、憶測で悪い噂を吹聴するのはどうかな」
けれど、オルガを追い詰めたのは俺達。
もしもオルガが無実ならば、俺達が殺したも同然……。
「おはよう、美薗」
「マハラ、おはよう!あのね、オルガが……」
マハラは俺とイチに視線を向け鼻で笑うと、美薗に視線を向けた。
「オルガの記事なら読んだよ。可哀想に。ホワイト牧場の牧場主によると、施錠された牛舎の中で複数の男の声がしたらしい」
「複数の声?マハラ本当なの?」
「家畜を殺したのはオルガではない。そいつらが本当の真犯人だとしたら?」
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