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椅子に腰を下ろしページを捲る。
セバスティが仮名を振ってくれたお陰で、文字はスラスラと読める。
「セバスティは、ほんに魔術師じゃ……」
旧石器時代……
これが人?まるで、お猿みたい……
縄文、弥生、古墳……
飛鳥、奈良、平安、鎌倉……
一体、この書物は何なのじゃ?
パラパラとページを捲りながら、わたくしの鼓動がトクトクと速まる。
南北朝、室町……
戦国時代……。
「戦国大名織田信長……」
兄上の名が……
日本の書物に?
「“戦国大名、織田信長。天正十年、明智光秀の謀反により、京都本能寺にて暗殺”……。兄上が光秀に暗殺とな!?一体何故……?このようなことがあるはずはない。兄上はいずれ、天下人になられるお方じゃ」
それに今は……永禄十年。
何故このような事が、書物に書かれておるのじゃ……。
「ばかばかしい……」
ページを前に戻し、時が経つのも忘れ読み更けると、父上織田信秀の名や、兄上信広のことなども詳細に書かれていた。
そして……
信長の妹……お市の方……。
「わたくしのことが……?まさか……」
書物によると市は、“永禄十年、近江国、浅井長政に嫁ぎ、子を授かり幸せに暮らしていたが、元亀元年、兄、信長が浅井と関係の深い越前国朝倉善景を攻めたことをきっかけに、同盟を結んでいた織田と浅井は断絶し、天正元年小谷城は陥落。織田に敗北した長政と父久政は自害”と記されていた。
「……長政殿が自害!?嘘じゃ、嘘じゃ、このような話は作りごとじゃ……。何故このような不吉な書物を、ジョエルが……?」
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