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「わたくしを子供扱いしないで下さい」
「わかっているならいい。イチ、何を怒ってるんだ?随分ご機嫌斜めだな?」
「そのようなことは……」
「そうか?」
ジョエルはニヤリと笑うと、わたくしの唇を奪おうとした。わたくしは咄嗟に顔を背ける。
マハラから不意に口吻をされたことが、後ろめたくて動揺を隠せない。
「イチ?」
「大学で……そのようなことは困ります」
「なるほど。ならばさっさと帰宅しよう。その花の蕾のように愛らしい唇を、屋敷で存分に堪能するよ」
ジョエルは意地悪な笑みを浮かべる。
わたくしは無言でセバスティから受け取ったヘルメットを被り、バイクに跨がる。
ジョエルはわたくしの態度を不審に思っている様子だったが、それ以上は聞かなかった。
――屋敷に戻ったわたくしはジョエルと視線を合わせることが出来ず、早々に夕食を済ませ寝室に入る。
ジョエルはわたくしの傍にくると、右手でわたくしの長い髪を掻きあげ、首筋の刻印に舌を這わせた。
「……ぁっ」
「俺のキスを拒んだ罰だ」
ドスンとベッドに押し倒され、強引に唇を奪われた。
「ジョエル、やめて下さい」
「イチ、何故そんな悲しい目をしている。イチ……?」
「わたくしは……ジョエルのことを想ってはいけないのです」
「浅井長政がいるからか?それとも信長が怖いのか?」
「……そうではありませぬ」
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