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「イチ、何をしている?」
マハラがイチの腰に手を回し、体を引き寄せる。首筋に唇を近づけ匂いを嗅ぎ、ニヤリと口角を引き上げた。
「マハラ、イチから離れろ!」
「おい、ジョエル。イチはジョエルとは単なる同居人だと言っている。だとしたら、イチが誰と付き合っても関係ないだろう」
「マハラ、イチから離れろと言っているのが聞こえないのか!」
「イチの美しい黒髪を、ベッドの上で乱してみたいものだ」
マハラが指を伸ばしイチの黒髪に触れた。俺は思わずマハラに掴みかかる。
マハラは両手を上げ、『降参』と言わんばかりに苦笑した。
「ジョエル、乱暴なことをしてはなりませぬ」
イチは俺を見つめ窘める。
「イチ、こっちにおいで」
「……はい」
イチの手を乱暴に掴み、席に座らせた。
「どういうつもりだ?」
「マハラに話し掛けられたのです……」
「男に話し掛けられたら、イチは誰にでも靡くのか?」
「無礼な……、わたくしはそのようなふしだらなおなごではありませぬ」
「ジョエル何を揉めてるの?イチの首筋にキスマークをつけるなんて、その方が十分ふしだらだよ。デリカシーがないんだから」
俺達の会話に美薗が割り込み、イチの首筋についたキスマークをからかう。
イチは真っ赤になりながら、両手で顔を隠した。
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