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教室の中では、もっぱら家畜の死に話題が集中する。
「吸血鬼伝説って信じる?もしかしたら、ヴァンパイアの仕業かも」
「ヴァンパイア?まさか。いつの時代だよ。それにここは日本だ。中世のヨーロッパやルーマニアじゃないんだぜ。狼の仕業に決まってるよ」
「そうだよな」
学生達は口々に喋り、薄気味悪そうに眉をひそめる。
「ジョエル、ヴァンパイアとは食する物ではないのですか?」
イチが突然声を上げ、俺は慌ててイチの口を手で塞ぐ。だが、その声を聞き逃さなかった者がいた。
「やだぁ、イチ何言ってるの。ヴァンパイアは吸血鬼だよ、人間の生き血を吸って生きている魔物なんだよ」
美薗と春乃に笑われ、イチは首を傾げた。イチの様子にセバスティは笑いを堪えるのに必死だ。
「イチは冗談がキツイな」
俺達は顔を見合せ笑って誤魔化す。
「イチみたいに美しい女性に食われるなら、ヴァンパイアも本望だろう」
オルガがニヤニヤ笑いながら、イチの全身を舐めるように見た。その視線に、俺は苛立ちを隠せない。
本日の講義を終えた俺達は、再びバイクに跨がる。イチを後ろに乗せエンジンを吹かした。
「ジョエル、赤いハーレーか。バイクは夜風が冷たいだろう。イチ、今から俺の屋敷でパーティーをするんだ。一緒に来ないか?」
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