二章
時折、彼は恋をする
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高校二年生となった俺、逢坂輝夜だが、ほんの一ヶ月の間に濃厚な日々を過ごした。
現役JKエロゲ声優ななまりこと七家茉莉とクラスメイトになり、喘ぎ声の特訓を一緒にすることになったり、ヤ〇ザ組長の愛娘でポンコツヤンキーの山井和華と友達になったり、その和華と、妹の逢坂寧々音、その友達の名古市姫こと姫ちゃんと共に、俺の悪友、黒岩陸斗へのラブレターの送り主を探したりと……まぁ、よく一ヶ月でこれだけイベントをこなしたものだ。
まるでギャルゲだな。
まぁ、でも楽しかった。
ゴールデンウィークはそれぞれ用事があって会えなかったが、明けに教室で会うと自然に挨拶からの何ともないお喋りが始まって、俺の学園生活はかつての灰色が嘘のように明るい。
しかし、忘れてはならない。
どれだけ学園生活が楽しかろうと、俺の最優先事項は変わらないのだ。
それ即ちエロゲをすること。
成人指定の恋愛アドベンチャーゲーム。俗に言うエロゲだが、俺は日夜それをプレイする事に生き甲斐を感じているし、これがないともうやっていけないと言いたいくらいにハマっている。
それが最近疎かになっていた。
補うかのようにゴールデンウィーク中は夜中になるとずっとゲームをしていた。しかし、出来る時間は夜中だけなので、やはり時間が足りない。
学校が始まってからも睡眠時間を削り、ゲームに没頭していたのは言うまでもないだろう。
そして、今日もまたエロゲを起動させた。
今日はネット上で今話題の同人ゲームをする予定だ。
同人ゲームとは、会社などが作ったゲームでは無く、同人……つまり同じ趣味や志しを持った人達が集まった集団を意味するのだが……その集団が作るゲームが同人ゲームなるものだ。まぁ、個人で作っても同人ゲームとは言うのだけど、それは今は良い。
この同人ゲーム、とにかく数多く存在し、様々なジャンルで良作、名作、駄作、迷作を世に出している。
その形態も、同人即売会などでパッケージとして売っている物もあれば、ネット上でダウンロードコンテンツとして売られている場合もある。さらに料金の方も有料の物もあれば、全くの趣味で無料でプレイ出来る物も。
正直、同人ゲームを手当り次第しようと思ったらエロゲだけでも相当数……時間が足りないどころじゃ済まない。
だから俺は今まで同人ゲームには有名作以外は手を出さずにいるのだが。
最近、シナリオも短いがストーリーが良く、何よりやばい声の奴が出てるADVがある。そんな噂がまことしやかに語られていた。主に掲示板で。
そのタイトルが『Reフレイン』。
とある幽霊少女と主人公の夏の三日間を描いたノベルゲームだ。
一応、成人指定で、最終日にエロシーンはあるらしいが、それが飾りだと思える程に涙が止まらないとか。
この作品が成人指定である事について賛否両論あり、ネット上では大激論が繰り広げられている。
そして俺もそんな熱い奴らの熱気に当てられて、今回、プレイしようと思ったのだ。
タイトル画面に描かれる絵は、クセもなく、普通に受け入れられるキャラデザインだった。
素直に可愛いと思える。
そして、ゆっくりとマウスを動かし、ニューゲームをクリックした。
……俺は、恋に落ちた。
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