4章 プロジェクトマネジメント(実行) ~プロジェクトを回せなきゃ、人間には勝てない~

第23話 こうやって進めていくの

「さてさて、みんなうまくやれるかしらね」

「まあ、やることが大きく変わるわけじゃないから、多分大丈夫だと思うけど」


 太陽が一気に加速して頂上を目指して登る朝方、桜佳を乗せて帝国の北へ飛ぶ。


 今日はプロジェクト初日。これから60日間の準備を進め、終わればいよいよケーカクへの攻勢開始。


 そして今日から俺はプロジェクトリーダー、桜佳がアドバイザーとして、定期的に巡回を行うことにした。



「へへっ、やっぱり飛ぶのって気持ちいいわね」

「そうだろ?」

「あとはもう少し揺れないで飛ぶ技量が欲しいわね。欲を言えば、横になって寝たいわ」

「体格一緒なのに無理があるでしょ!」

 技量以前の問題だと思います!




「あそこ、キマイラがいるわ」

 桜佳が指差した先に攻撃部隊のキマイラ小隊を見つけ、急降下する。


「あっ、リバイズ、桜佳先生、こんにちは!」

 小隊長が真っ先に挨拶し、続いて他のキマイラも集まってきて頭を下げる。ライオンとヤギと蛇、たくさん顔があって面白い。


「見に来ただけだから、あんまりワタシ達のこと気にしないで進めてね」

 分かりました、と桜佳に返事をして、小隊長は部下の方に向き直った。


「えっと、じゃあ今日は何やるかな……じゃあとりあえず軽く走って体力作りからやるか」

「ちょっと待って!」

 すかさず止める、隣の先生。


「アナタ達、今日の予定は何なの?」

「え、いや、とりあえず攻撃できるよう訓練すれば良いかと思って――」

「バカじゃないのーーっ!」


 ハイトーンの怒号が響き渡る。おっ、さえずってた鳥が逃げてった。



「ほら、リバイズ、どこがバカなのか説明してあげて」

「え、俺?」

「プロジェクトリーダーでしょ、ほらほら」

 背中をぐいぐいと押され、小隊長の前に立たされた。


「えっとね、今日何やるかを小隊長がゼロから考える必要はないんだ。プロジェクトで決められたスケジュールに従って活動予定を立てるのが大原則だからね」


 キマイラの小隊長、そのライオンの顔が後ろを向き、ヤギに話しかける。


「そうか、スケジュール表か。おい、お前持ってるか」

「読まずに食べた」

「何してんだよ!」

 紙を食うな!


「仕方ないわね……ほら、ワタシの見せてあげるわ」

 桜佳から大きな紙を受け取り、まじまじと見るライオンとヤギ。


「本当だ、よく見てなかったけど、ちゃんとタスクと担当小隊が書いてある!」

「ライオンとヤギと蛇では分かれてないんだな」

 何で分けるんだよ。胴体1つだろうが。


「で、今日明日あたりの予定はどう書いてある?」

 俺が指で軽く指し示すと、そこにぞろぞろと部下のキマイラも寄ってきた。ううむ、なんか餌付けしてる気分だ。


「あ、『手持ちの全武具の破損状況チェック』って書いてある。今日から3日間でやるタスクか」

「小隊長、もう一つ書いてありますよ? ほら、『ケーカクの見取り図の作成』って。えっと……3日で描いて、ワイバーン小隊に補足してもらうみたいですね」


 返事をするように、「そういうことよ」と口を開く桜佳。


「そうやって直近の仕事を把握して、今日何をどこまでやればいいか考えるのが小隊長の大事な仕事よ。で、何か問題がない限り絶対に期限までにやること。タスク遅延で攻撃開始日が伸びる可能性もあるからね」


 ふむふむ、と小隊長が頷く。尻尾の蛇も頷いてるのが面白い。



「えっと、桜佳先生、質問があるんだけど」

「質問はリバイズに訊いていいわよ。リーダーだからね」

 ううむ、結構試されているな。


「プロジェクトに参画していないメンバーはどうすればいいんだ?」

「んん、そうだな……」


 確かに、武具の破損状況チェックもケーカクも見取り図も、待機要員にしているキマイラには関係ないもんな。


「日々やらなきゃいけない仕事はないの? プロジェクトに関係ない業務とか」

「ああ、ワイバーンに乗って周辺国の巡回と情報収集をしてるぞ」


「じゃあそれを担当してもらえばいいよ。そうしたらうまく分業できるだろ」

「分かったぞ! そうかあ、なるほどね、こうやって60日間やればいいんだな。なんか不安だったけど、うまくまとめられる気がしてきた!」


 よしよし、他にも分かってない小隊がいそうだから、巡回を続けよう。



「あれ、小隊長、もう1つタスクありますよ。『個々の攻撃能力測定』ですって」

「あーーーっ! アングリフ隊長に朝集合って言われてた!」

「遅刻じゃん!」

 見に来てホント正解だったよ!


「リバイズ、1匹ずつ往復飛行でいいから、俺達を隊長のところまで乗せてってくれ!」

「40往復もしてられるか!」

 プロジェクト初日。前途多難なスタートです。

  





【今回のポイント】

■プロジェクトの進め方

 キックオフを終えたら、いよいよプロジェクトのスタートです。最後の4章では、プロジェクトマネジメントの「実行」部分にフォーカスしてポイントを取り上げていきます。

 どうぞ、自分がプロジェクトのリーダーを任されていると思って読んでみて下さい。


 プロジェクト開始とはいえ、まったく手探りで活動するわけではありません。事前に立てたスケジュールに沿って活動していきます。


 その際のポイントですが、スケジュールを立てているとはいえ、毎日の活動まで細かく区切られていない場合もあります。特にプロジェクトの期間が長いときは、2~3日や1週間の単位でタスクが設定されていることもあるでしょう。こうした場合は、その日にどこまでやれば良いか、自分や参画メンバーの使える時間を踏まえて指示を出してください。



 そしてもう1つ。当たり前のことではありますが、タスクは設定された期限までに必ず完了して下さい。特に後続のタスクがある場合、その遅れが他のタスクに多大な影響を与える可能性もあります。


 見積りの甘さや妨げになる要因のために期限通りに完了できなそうな場合、定例会議にて報告し、期限の見直しや課題の解決を図りましょう。

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