いどうとしょかん
日記を書くことにした話~最初のページ~
かんとーエリアの小島を巡っているとき、バスのようなものを見つけた。
横倒しになっていたから最初は変なところに変わった形の岩があると思っただけだったけどよく見たら、潮風や波でサビていたり、タイヤの辺りはツタと苔でがんじがらめになっていたけど、かろうじてバスとわかる形をしていた。
バスの中のイスは全部、外されて代わりに本棚と本がつめられていた。
本は、カビ、湿気で文字がにじんでしまって読めないのはいい方で、本当にひどいものは開いただけでボロボロと崩れてしまった。
サーバルちゃんが「図書館みたいだね」と言ったら「きっと、そうだったんだよ」とフェネックさんが言った。
「バスでも図書館って出来るんですか?」と聞いたら、「私たちがバスに乗って図書館に行くの逆でさあ、バスに図書館を乗っけて私たちのところに行けばできるんじゃない?」と言われたので「なるほど!」とサーバルちゃんと2人で感心してしまう。
ずっと奥の方で「お宝のにおいがするのだ」と砂に埋もれていた本棚から砂を掻き出していたアライさんが「お宝があったのだ!」と声を上げて箱を持ち上げていた。
箱には『落とし物箱』と書いてあった。
お宝じゃなくて誰かの忘れ物なんじゃないかなあとは思ったけど、落としたコにとっては宝物だったのかもしれないし、アライさんが嬉しそうだったので、それに関しては何も言わないことにした。
箱の中身はやっぱり本で二冊あった。一つはとても厚くて、もう一つは程々に。
厚い方の本は「宝の地図があるかもしれない」と2人に持って行かれてしまったのでもう一つの方を読む。
本の表紙には名前が書いてあったのだけれどはかすれてしまって読めなくなってしまっていた。
中身を見れば『誰か』の日記だった。
日記を書いたコははトモダチに思ったことを残したいから日記をつけることにしたみたいだ。
自分がその時、思った事や考えたことが残るのはすごい事だと思う。
ボクはまだ残したいと強く思うものはないけれど、いつか、いなくなってしまう時に困らないように日記をつけることにした。
厚い方の本も日記だった。
ビックリすることにこの日記を書いたのは「サーバルキャット」さんだった。
きっとこの『誰か』のトモダチだったんだろうと思う。
この「サーバルキャット」さんは、いろんなところへ行って大勢のトモダチとたくさんの冒険をしたみたい。
ボクが軽く内容をまとめて伝えるとサーバルちゃんとアライさんが全部読みたいと言った。
とは言え、字が読めるのはこの中ではボクしかいないので、今すぐに全部はボクもみんなも疲れちゃうよと言えば、フェネックさんが「ちょうど図書館にあったんだし、借りていって、ちょっとずつ読めばいいんじゃないかな」と言ってくれたのでその通りにした。
これから、サーバルちゃん達が寝る前に日記を読むことと書くことが日課になりそうだ。
日記は書きたいことがたくさんあっても、もう少し短めにまとめる方がいいかもしれない。
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