14
そして、文化祭の日がやってきた───────
眠い。ただただ眠い。
結局、あのあと家に持ち帰って作業を続けたが、気付いたら朝日がおはよう!!と言わんばかりに輝いていた。昨日もほとんどの作業を任され、私が得た睡眠時間はほぼなしに等しかった。だめだこれは。そして
教室では、みんなそれぞれの衣装を着て、賑わっている。狼男やゾンビ、雪女や魔女など、ハロウィンの仮装大会にでも来たような気分だ。そして、衣装のない私はそれを遠くから眺めていた。
「あは、あははは……。みんな、かわいいね。似合ってるよー。間に合ってよかった……あはは。」
「…………星?顔、怖いよ?」
花が化け物でも見るように目で私の顔を覗き込む。
「えー?そう?いつもこんな顔だよーあはははは。」
だめだ。疲れがピークだ。
いや、今日頑張れば明日からは楽になれる。頑張れ私。こんなめんどくさい仕事ともおさらばだ!!
────── そして、清水君と話すことも、無くなる。
さりげなく清水君に、視線をやった。清水君は、吸血鬼の衣装を着て女子に囲まれていた。恐らく、女子達が勝手に決めたのであろう。清水君は全く周りの女の子達の会話に入ってなかった。めっちゃ嫌そうな顔をしている。私と話してたことは、全て夢だったのかもしれないな…………。そんなことを考えながら、彼をじっと見つめてしまった。
「星、いいこと教えてあげる。」
「んー?どうしたの?」
内緒話でもするように、私の耳元に顔を近づける花。
「清水君が実行委員やったのは、星がやったからなんだよ。」
「……………………?…………まって、それどういう」
「あと、今日の後夜祭は今のところフリー、らしいよ。じゃ、文化祭頑張ろうね!!」
謎の“いいこと”を伝え、花は去っていった。
後夜祭とは恐らく───────打ち上げ花火を一緒に見る人がいないことを示しているのだろう。それも謎だが、1個目のは、全く意味が分からない。え?つまり、私がやったから、清水君も実行委員をやったってこと?
そんなこんなで、謎ができてモヤモヤしたまま、文化祭の始まりを告げる、花火が校庭で打ち上がっていた。
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