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「………………。」


実行委員の集まりが終わり、教室に戻る頃には夕日が綺麗に見える時間だった。帰宅部の私は、いつもだったら家でグダグダしてる時間だが、今日……いや、今日からはそうはいかないようだ。実行委員は、とりあえず雑用みたいなものだったのだ。教室では、なんとも気まずい空気が流れていた。


無言で、てきぱきと資料をまとめる清水君。もはや私は空気である。


「あの、私なんかすることある?」


「……や、大丈夫かな。」


これじゃあ、いてもただ邪魔な奴である。もしかしたら、こいつは役立たずの人間だとでも思われているのかもしれない。そう思われても仕方ないか……。そんなことを思いながら、ぼーっと、清水君の仕事ぶりを眺めていた。


「三条さん。もう、帰っていいよ。」


「え。」


「仕事は、俺がやっとくから。」


「で、でも、」


……たしかに私はなんの役にも立たないし、要領も悪いしな。昔からそうだ。「しっかりしてそうなのに。」とか「いてもいなくても変わんない。」とか、陰で言われてることがよくあった。そんなこと自分でも分かってる。私だってもっと器用にやりたい。何度も何度もそう思ってる、なのに、なんで、なんで…………


「三条さん!!」


反射的にビクっと肩が跳ねた。はっと気づいた時、目の前には驚いた顔をした清水君がいた。まずい、人前でネガティブ思考に陥ってしまった。いつもは一人のときだけなのに。


「あ、あ、ごめん!私帰るから!!」


急いでカバンに荷物を入れ、教室を出た。清水君が名前を呼んでくれた気がしたが、振り返らなかった。清水君にはほんとに申し訳ないことをしてしまった。


「あー、明日ちゃんと謝らなきゃなぁ……。」



小走りで帰る私を、オレンジ色の空に現れた一番星が見下ろしていた。そして私は、今日何度目かのため息をついたのだった。


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