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考えているうちに、時間は刻々と過ぎていき、あっという間に放課後になってしまった。花は、がんばってね、と笑顔で言い、部活に行ってしまった。



「行かなきゃ……だよね……。」


はぁ、と本日何十回目かのため息をつき、席を立った。会議室に入ると、清水君は一番後ろの窓際の席に座っていた。


「と、隣、いいかな?」


清水君は、私をチラリと一瞥し、


「どうぞ。」


と、なんとも抑揚のない声で言った。


「(…………き、気まずい……。か、会話……えっと、どうしよう。本は私あまり読まないし、清水君って本以外に好きなものなんてあるのか!?)」


なんて、うだうだ考えてるその時だった。


「三条さん。」


なんと、話を始めたのは清水君だった。


「え!あ、う、うん!?どうしたの?!」


「三条さんって、本読む?」


まさかの、本の話題か!!!


「え、うーん、あまり読まない、かなぁ……」


「……そっか。」


うわぁ!あからさまに落ち込んだ!ど、どうしよう。イケメンにこんな表情させるとか、自殺レベルだよ!!


「あっ、あ!でも、本は嫌いじゃないんだ!な、なにかオススメある?」


とっさに口に出た、なんとも苦しい言い訳だった。これは、だめだ。嫌われた……。私の高校生活もこれで幕を閉じるのか…………。


「じゃあ、これ、オススメ。」


清水君は、私に本を差し出していた。


「えっ……」


「これ、面白いから。」


「お、怒って……ない?あ、うわっ、口に出てた!」


「なんで怒んの。」


ふっ、と笑った清水君。

素直にかっこいいと思ったし、

そして、不覚にもときめいてしまった。


「あ、あの、本、ありがとう。」


「いいえ。実行委員、頑張ろうね。」


今までクールだと思っていた彼は、意外と表情が豊かな人物らしい(いや、もしかしたら私に気を使っているのかもしれない)。なにはともあれ、なんとか彼とはやっていけそうな気がする。


「うん、頑張ろう!」


だって私、今、ちゃんとから。

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