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朝一で学校に来て読書。
休み時間も読書。
昼休みはお弁当を食べながら読書。
放課後は図書室へ行って読書。
みたいな感じで、読書漬けの高校生活を送っているなんとも不思議な人物なのである。そのせいで、クラスではいつもひとりだった。ただ、嫌われているわけではないのだ。むしろ好かれている。女子に。
彼は、クールなメガネのそこそこ顔が良いイケメンなのだ。なんだか、少女漫画からそのまま出てきたような男の子なのである。そんな男の子と実行委員ができるなんて、きっと誰もが羨むことだろう。
だが、ただでさえ、男の子と喋ることが苦手な私は、彼と話したことすらない。
「まさか、清水君が実行委員やるとはね!!」
花がゲラゲラ笑いながら、お弁当を頬張っている。
「もう……笑い事じゃないんだよ…。花の馬鹿〜!」
「いいじゃん!いいじゃん!仲良くなれるチャンスだよ!逆に羨ましいくらいだわ!!」
「チャンスって、私別に清水君のこと好きとかそういうのじゃないし……。って、あ、ちょっ、からあげ食べないでよ!!!」
花が私のお弁当から、最後まで残しておいたからあげをひょいっと口の中に放り入れた。楽しみにしてたのに……。
そんなことはお構い無しに、花はこう言った。
「なに馬鹿なこと言ってんの!高校生だよ!文化祭だよ!?LOVEイベントのひとつやふたつ起こんなくて、なにが面白いんだ!!」
そう言って、ばん!と机を叩く。そして何故かドヤ顔を決めている。気持ちは分からなくはないが、残念ながらそれを期待する人間が私である以上そういうことは起こらないだろう。ごめんね、花。
「清水君だって、そんな話されてたらきっと嫌だよ。てか、私清水君、無口だし、ちょっと苦手なタイプな気がするし……って、花?聞いてる?」
花の返事がない。なんか、心なしか笑顔が引きつっている。
「三条さん。」
後ろから声がした。すごく、嫌な予感がした。
「放課後、実行委員の集まりあるみたいだから、会議室集合ね。」
「……あ、……う、うん。あり、がとう……。」
そう言って、清水君は去っていった。
やって、しまった……。
これからやっていけるだろうか……。
そして今の話は聞かれていたのだろうか……。
とりあえず不安が多すぎる…………。
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