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「文化祭の実行委員やりたい人はいないのかー!」


教室に響き渡った担任の声。


そう。私の学校では、もうすぐ文化祭があるのだ。これが高校生活初めての文化祭ということもあり、クラスメイトはいつもより盛り上がっていた。やっぱり高校生といったら、文化祭だよね〜。少女漫画とかで読む、あの素晴らしいイベント!なんてにやにやしながら考えてると、


「せんせーい、せいが実行委員やってくれるみたいですよ〜!!」



友人の口から、私の名前が出た。

はて、聞き間違いか。


「おぉ!三条さんじょうやってくれるか!!」


私に期待の目を向ける担任。

こんなの断れるわけないじゃん……。


「……は、はい…………。」


くっそ……あとでジュース奢らせる。

私の名前を叫んだ、はなを、じとーっと睨んだ。きっと、私をいじるためにやったんだろう。まぁ、わざとやったことでも、友達のノリ的なやつなんだろうから、いちいち気にしていられない。



「よし、じゃあこれで決まりだな!!」


黒板には、実行委員の名前がでかでかと書かれていた。



「………………え゛……。」


そこには、いつの間に決まったのか、私の名前 ──三条さんじょう せい、と書かれた横に、 清水しみず そらと書かれていた。


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