第16話 殺人鬼と幼女と探偵と警察の旅行

今日は少し前から予定していた一大イベントがある。そう、旅行だ。

学校の修学旅行とかで何度かやったことはあるが、プライベートとしては初なのだ。

「刀夜!はやくはやく!」

「るっせーっ!つかお前も準備手伝えっつの!」

行く気満々の唯月は、自分の支度だけ済ますと足踏みしながら玄関で待つ。 だから大荷物くらい手伝えっつの!

「そうそう、唯月ちゃんも手伝ってあげてね」

「うん、わかった!」

「はぁ、助かったぜ、、、、ってなんでお前がいんだよ!!」

何故かちゃっかりと俺の前に勇武の姿があった。いつ住所特定できたんだよ。

「朗報、ユウもいるぞ」

「やぁ、昨日ぶりだね」

そこにはあの警察の姿があった。どうしてこうなった。

全然朗報じゃねえよもはや悲報だよ、、、。

「お前を監視するため、同行させてもらうよ」

「ふざけんなよ」

「冗談冗談。旅行くらいは楽しくやらないとね」

お前、、、。

「ところでお前ら、なんで今日旅行だって知ってるんだ?」

「「唯月ちゃんが言ってた」」

二人は声を揃えて言う。

「唯月てめぇ」

俺は玄関で待つ唯月を睨んだ。つかいつそんなことしたんだよ!!

「さて、支度も終わったことだしそろそろ行こうか。で刀夜、行き先は何処だ?」

唯月、勇武、ユウの三人が俺を見る。そういや皆に行き先を伝えてなかったな。

「行き先は、、、沖縄だ!」



「空港までは送っていくよ」

ここから空港までの道は長い。本当は電車で行くつもりだったのだが、ユウが車で送ってくれるそうだ。 こいつの存在は案外助かるものだ。

「唯月、飛行機は初めてか?」

「うん!刀夜も初めてなの?」

「そうだよ。勇武とユウは初めてか?」

正直この二人は飛行機なんて何回でも乗ってる気がする。ほら、職が職だし。

「「何回もある」」

二人が声を揃えて言う。ほらやっぱり。

「ここから飛行機で約二時間だ。そのあいだ寝るとでもするか。ってもう寝てるし」

唯月はもう寝ている。さすがは幼女先輩、寝るのがはやい。上条繋がりなのか、その隣の勇武も寝ている。勇武の隣のユウは本を読んでいる。

俺も寝ようか、と言いたいとこだが実はそういう訳にもいかない。飛行機の中であろうと何が起こるかわからないのだ。殺すまではいかないがせめて唯月を守るくらいはできるはずだ。

「ここから二時間。待機だ」

「刀夜、僕が見てるから寝てていいよ」

うわ、口に出してたのか。だが有能警察のこいつなら任せても安心だ。

「じゃあ、寝かせてもらうぜ」

正直俺も昨日から支度してたので疲れきっている。本当にユウの存在はありがたい。

じゃあ二時間。寝るか───────。


─────────────────→

────────────きて




──────刀夜、、きて。

なんだ、もう着いたのか?

「起きて!刀夜!!」

「わっ!、起きてるわバカヤロー!」

「やっと起きた。もう大変だったんだから!」

唯月が頬を膨らませている。俺は飛行機から降ろされ、空港の椅子にすわっていた。

「やれやれ。眠気が覚めたら行こうか」

「すまねぇな。もう行くぜ」

俺としたことが、油断した。おれユウいなかったら本当にやばかったぜ。



バスで約一時間。ついたぞホテルに!

「ホテル、大きいね!」

「ああ」

ホテルの中に入るのは三回目だが、やっぱいつ見てもこの大きさには驚かされる。

「さて、俺と唯月二人ならすっごく楽しくなるはずだったなに余計な二人が来たせいで楽しさが半減した旅行の始まりだ!」

「おいおい、それじゃ俺達が邪魔者みたいじゃねーかよ」

「ま、いいんじゃないか」

「旅行だ!旅行だー!!」

不良相手したり、迷子の子探したり、間違いで逮捕されたりと思えば最近いろんな事が起こっていた。だからこそ、たまにはこういう楽しいイベントも無しじゃねーな。

「さて、五日間満喫するぞ!」

唯月、勇武、ユウが俺を見て頷く。

本当に満喫したい、出来れば事件とかに関わりたくないし殺しもしたくない。だから──────何事も起こらずに旅行が終わりますように!!

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