第9話 不良集団と殺人鬼
「─────やっと、見つけたぜ」
路地裏の入口から、確かにそう聞こえた
「ったく唯月、どんだけ探したと思ってんだよこんのクソガキが!疲れちまったじゃねーか!」
「とーや!!とーやとーやとーや!!!!」
「わぁったよ、俺は刀夜だよ。お前服はどうしたよ、下着だけじゃ寒いだろ?これ着てろ」
俺は服を着ていない唯月に自分が来ていたジャケットを渡す
「おいテメェ、なぁに人の女に勝手なことしちゃってくれてんのかなぁ今いいとこだったのにさぁ!!!」
「人の女だと?最初からこいつは俺のもんだ。誰にも渡すわけねぇだろ」
「口答えしやがってよぉ。お前ら、殺れ」
響也の命令により、部下の5人の不良が刀夜に襲いかかる。全員武器を持っており、完全に殺す気だ
「ったく、唯月服は着たな。したら目を瞑って耳を塞いでろ。俺が言いって言うまで絶対に目も開いちゃダメだし何も聞くんじゃねぇぞ」
「うん、、」
唯月は言われた通りにする。その場で目を閉じ、何も聞こえなくなるよう耳を塞いだ
それを確認した俺は、襲いかかる不良達に反撃を開始した
「調子に乗ってんじゃねぇよ」
「なっ、俺らに逆らう気か!?」
そっちが殺す気なら、俺に殺されたって仕方がないだろ。いや、そもそもこいつらは唯月を弄んだ時点で俺の殺戮対象なのだがな
だから、遠慮なく殺させてもらおう
「やっちまえ!!」
「ここがテメェの墓場よぉ!俺らに逆らったこと、せいぜい地獄で後悔するんだな!」
全く、本当にバカだ。たかが少し喧嘩に強い不良集団ごときが殺人鬼相手に─────
「殺す、ね」
「あん?」
「殺せるものなら、殺してみろよ」
正直こんなアクシデントが発生するなんて思ってなかった。だから武器となりそうなものは持ってないしこの状態でこいつらを殺すことは殺人鬼の俺でもなかなか高難易度だ。
ならば、奪ってしまえばいい
「おらよっ!」
俺は1番殺傷能力が高いと感じたナイフを持つ不良を蹴り飛ばす。そして手からナイフを離した瞬間それを俺が掴み、そして本来の持ち主をそのナイフで刺して殺した
「こ、こいつ、、、マジで殺りやがった」
「テメェ、殺すなんて卑怯じゃねーかよ!」
「つかこいつヤベェんじゃねーの!?マジで命もたねぇよ!」
不良の特徴、自分の敗北に危険を感じると急に弱音を吐く。まさにこのことだ。
全く、殺す殺すって先に言ってたのはそっちのくせに
「知らねぇ。俺はお前らを殺したいから殺すだけだ」
「ちょっ、ちょっと待ってくだせぇ!ほら、これは返しますから!」
不良は踏みつけてボロボロになった福を俺に投げつける。怯えた表情で少しづつ退き、そして響也の影に隠れた
正直、誰が先に死のうが関係ない。だから、本来は最後に残しておくはずのリーダーである響也をここで殺そうと思った
「ふっ、、、甘いね」
「ああ?」
俺が響也にナイフを刺そうとした瞬間、響也は後に隠れていた不良の1人を前に突き出した。突き出された不良は俺のナイフに刺され、痛み苦しみながら倒れる。
「おい最後まで俺の役にたてよぉ。なぁに怯えてんの?まさかこいつが怖いの?」
「す、すみませんリーダー。こいつを、殺します」
「そう、それでいいんだ」
怯える下っぱは震えながらも表情を変えて俺に向かってくる。その状況はまさに響也の操り人形のようにただ動かされているようだった。
「いい加減にしろよ──────」
この不良集団は全員殺さないといけない。でも、先に殺さなくてはいけない奴がいる
「邪魔だ」
俺は向かってきた不良の攻撃を全てよけ、死なない程度にナイフで刺した。痛みで苦しみ動けなくなっている間に、俺は響也の目の前に来た
「先にお前を殺す理由ができたわ」
「ほう、どうやら直接俺が相手しないといけないみたいだな」
別に俺は下っぱ不良が可哀想に思った訳ではない。ただ、こいつのやったことが許せない、ただそれだけのことだった。
─────そして大切な人のために、俺はこいつを殺さないといけないから
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