第7話 幼女、迷子になる
俺の家に唯月が来てから確かもう5日、、、ってまだ5日じゃねーか!
思えば昨日まで本当にいろいろあった。出かけてばっかりだった気もするのだが
「唯月、今日は何したいんだ」
「買い物行きたい!」
「だよな」
と、言うわけで本日もお出かけします。まあ俺も昨日のことがあるから都合がいいんだが
行き先はいつものスーパーだ
「さて唯月、お前が欲しいの言え。何でもいいから買ってやる」
お金にはまだまだ余裕があるし、それに唯月のためだ。どんなに高いものだろうが全然大丈夫なはず
「じゃあ、こっち来て!」
「あん?」
唯月は俺の手を取って走る。走って、走って
なんか同じところをずっと走っているように思えるが、唯月はそれでもずっと走った
そして、よくわからないところで止まった
「刀夜、場所がわからない」
「じゃあ俺は何のために走らされたんだよっ!」
なんとなく嫌な予感はしていたが、やはりそういことだったか
「じゃあ一体どこに行きてーんだ?」
「これがあるところ」
唯月は例のネックレスを俺に見せてくる
「はぁ!?」
正直、これが欲しいなんて言うとは思っていなかった。そもそもネックレスとか2つ持ってて何の意味があるのか分からないし、ネックレスじゃなかったとしても高すぎる
かと言って、ここで唯月の望みを叶えられないとなるとそれは俺が約束を破ってしまうことになる。ならば、ここは─────
「ったく仕方がねぇ、好きなの買ってやるから早く選んでこいよ。俺はここで待ってるから」
「うん!」
俺は唯月に1人で行かせた。最近まともに休んでいなかった俺は近くのベンチで一休みすることにした
──────────
そして、気付けば1時間が経過していた
「唯月のやつおせーな、何やってんだ?」
俺はアクセサリーショップの中にまだいるのではないかと思い、探した。でも、唯月の姿は何処にも見当たらなかった
「くっそ、あいつ何処に行きやがったんだよ!まさかトイレ行こうとして迷子とかじゃねーだろうな!」
唯月のことだ、道がわからないまま直感で進む奴だし、迷子なら充分に考えられる
俺は店の中を探した。何周も、何周もしながら唯月のことを探した
だが、結局唯月は見つからなかった
「っくそ!俺が一緒にいてやれば」
俺の中には、ただただ後悔だけが残っていた
俺のせいだ、俺のせいで唯月はどこかに行ってしまったんだ
「くそっ、何処だよ唯月、、、そうだ、アクセサリーショップにいたのは間違い無いんだし、店員なら何か知ってるはずだ!」
俺はアクセサリーショップに戻って店員に唯月のことを聞いた
店員は「小さな女の子はいた。でも、何処にも行ったのかは知らない」としか言わなかった
そんな俺の前に、突然フードを被った見た感じ変な男が話しかけてきた
結局、店の何処を探しても唯月は見つからなかった
そこで、俺は本当は考えたくもないが誘拐されたという考えに至った。いや、本当に誘拐されていたのだとしたら──────
「唯月!!」
俺は店を出て、外を探した。走って、走って、それはもう走り続けた。唯月の姿が見えるまで
だが、結局最後まで唯月が見つかることはなかった
「どうしてだよ、、どうしてこうなっちまったんだよ!!」
幼女1人守ることもできなくて、大切な人を守ることができなくて
俺はもう、自分に対する怒りと悔しさで一杯だった
「───そこを右に渡った先のコンビニの奥の路地裏。怪しい男の集団がぶかぶかな服を来た幼女を連れ去ってるとこを見た───」
「─────は!?」
何処の誰だかわからない、そしてどうして俺に告げたのはもわからない
そして、それが唯月のことなのかも全くわからない
でも、それでも少しだけでもヒントが出たのなら、俺はそれに賭ける
「待ってろ唯月!!」
もう後戻りはしない。俺は唯月を助ける、それが俺のやるべき事だから───
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます