第6話 幼女とお留守番
「見て見て!これお外だと青かったのに赤くなってる!」
「アレキサンドライトだからな。日光だと青くなって人口照明だと赤くなるんだよ」
「そうなの?よくわかんないけどすごいね!」
「わっかんねぇのかよ!!」
唯月はネックレスについてるアレキサンドライトに夢中だ。希少鉱石なんだしそりゃ大人でも手に入れば喜ぶものだ
それはさておき、今日も俺は出掛けるつもりだが、どうしても今回だけは唯月を連れていく訳にはいかない。あ、いかがわしい場所ではないから安心しろ
「唯月、出掛けてくる」
「うん!行こっ」
「いや、今日は留守番してもらいたいんだ。どうしても1人で行かなきゃいけないから」
「そうなの?」
「そうだ。だから俺からのお願いだ、この家を守っててくれ」
「うんっ!」
本当に唯月は素直な奴だ。言うことを聞かせやすくて助かる
「んじゃ、行ってくるから」
「行ってらっしゃい!」
俺は家を唯月に任せ、外にでた
――――私がお家を守るもん
「でも、刀夜がいない寂しいよ」
今、唯月は留守番中だ。いつも一緒だった刀夜がいなくて少し寂しい様子
「とーやー、早く帰ってきてー」
ソファに座り足をバタバタさせながら呟く
アレキサンドライトへの興味よりも刀夜がいないことへの寂しさが脳内を埋めつくしていた
「あっ、そうだ!」
何を思いついたのか、唯月は突然立ち上がり風呂場へと向かう。そして少し経った後風呂場から出てきた
何かを期待するような顔で、そして―――――――全裸で
「刀夜、、、」
唯月は全裸で風呂からでてくれば刀夜がツッコミの為に帰ってくるとでも思ったのだろう。しかしそんなことはない
でも、唯月はまだまだ諦めなかった
次は突然大声をだす
「いやぁぁぁぁぁ!!クモだ!助けてぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
室内に悲鳴が響き渡る。ただ、それだけ
「刀夜が来ないよ、、、」
もうお昼だ ご飯の時間だ
お腹が空いた唯月は、冷蔵庫から買い物に行った時に買ったチョコをとりだす
「刀夜の分、、、そういえば刀夜はいないんだ」
唯月は取りかけたチョコを戻し、自分の分だけを持って椅子に座った
「刀夜、早く帰ってこないかなー」
空腹を満たしてもなお、寂しさの感情は消えなかった
「刀夜ー」
唯月はしょんぼりしながら刀夜の部屋に行く。ベッドに横になり、少ししてからまた何か思いついたのかベッドから飛び降りた
「そうだ!!」
唯月は部屋を飛び出し、そして─────
「ただいま。わりぃな唯月、遅くなっちまって」
「刀夜!!ただいま!!」
突然、唯月が飛び出してきて、そして俺に抱きついて来た。今まで見たことのないような満面の笑みを浮かべて
「刀夜!!こっち来て!」
「わぁったから落ち着け」
唯月は俺の手を引っぱってリビングに連れていく
「うわっ、これ全部お前がやったんか?」
「うん!」
リビングが、いや家全体が綺麗になっていた。さすがに高いところは出来なかったみたいだが。今度また何か買ってやるか
「がんばったんだな」
俺は唯月の頭を撫でた。それに答えるように唯月は俺の顔を見てニコっと笑う
そして、その変わらぬ笑顔で言った
「刀夜、だいすき!!」
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