14-魔力のコントロール
「じゃあまずは自分の中の気を感じとるところから、始めようか。まず眼を閉じて理ラックして」
こうすけに言われた通り絵里は眼を閉じる
「次におへそから5センチ下丹田に意識を集中してみろ
暖かいものを感じるだろう」
確かに暖かいもの感じる。「丹田を意識しながらゆっくり呼吸してみろ。すると体中に暖かいものが通るのを感じるはずだ。」
「すー・・・はー・・・」
「少しずつ呼吸をゆっくり深くしてみろ。体の中に暖かいものがより多く、ながれてくるはずだ」
絵里の体の下から蒸気が湧いてくる。気が循環してきた。
「最後にその体に溜まった暖かいものを外に出すイメージで思いっきり息を吐け」
「はっ」
その瞬間絵里の体から黄金の魔力が外部に吹きだした。
絵里自身時折、体から魔力が出たことはあったが自覚してこれほどの魔力を出すのは初めてだった。
「すごい、私、こんなに力がでもこれってこのままにしておくと」
「うん、魔力を放出しすぎるとぶっ倒れる」
すごくにこやかに答えられた。
「でもまだお前は自分の魔力を全部出し切れていないんだ。魔力のコントロールの特訓がきちんと出来ないとお前の魔力はでかすぎるから、そう簡単にはガス欠にはならないから。これから準備運動代わりに毎日トレーニングしようか。」
「毎日ですか、しかもこれで準備運動?」
「まあ基本中の基本だからな。じゃあこれからその魔力が噴出し続けるのと弱める方法。これはさっきの応用で呼吸とイメージでやってみようか」
リラックスし、魔力をその状態のままでとどめる特訓をした後
「じゃあ休憩しよう。止めるのもそんなに難しくない
要はガスの元栓を閉めるのと変わらない。丹田に意識を集中し、気の流れを抑えていけばその吹きだす魔力は止まるよ」
「はい・・ふー」と呼吸しながら丹田に意識を集中すると彼女から吹きだす魔力は消えた。
「はあ、はあたったこれだけなのに、体が疲れています。」
体力には自慢があった絵里も相当疲労している
「いやー大したもんだ。普通の魔法学院ならこの訓練に3日はかかるんだけど昼休み中に出来るとはやるなあ」とこうすけはさらりと言った
「え、これ本来3日かかるんですか、それ全部昼休みでやったんですか。」
絵里は唖然としていた。ならもうちょっとゆっくりやってくれてもいいのにといった顔をした絵里に
「ま、まあいいじゃないか。出来たんだし。それにいつお前に国から任務が来るか解らない以上最低限は出来てないとな」
こうすけは弁明したが納得いかないといった表情を絵里はしていた。
体力が戻ってきてから、絵里は気になることを聞いた
「そういえば魔法学院って何ですか?」
「魔法学院ってのは文字どうり魔法を使うための教育を行うための学校。早いやつは幼稚園に通っているくらいの年齢から習いだす。魔導士養成学校だ。素質のあるやつはスカウトされるか試験を受けて入る。」
「アヴァロンはもちろん有名どころでイギリスは本場だし、ドイツやフランスにもあるがアヴァロンとイギリスは別格。学院の上位陣はかなりの所に就職したり、軍役についたり、魔導士として働くなら出世コース間違いなしのところだな」
「じつは今回のケースについては俺が疑問を感じてることが多い。本来、勇者はお前の
「その後勇者専門の機関に配属され、チームを組み魔王討伐する主要メンバーを同じように特別な訓練を受けたメンバーで構成し、魔王討伐に向かうのに今回はおかしいことだらけだ。」
「今回の勇者であるお前への配慮がおかしい。大きな魔力を持つものは大きな魔を呼ぶものだというのは魔導士どころか、魔法使いでも常識なのにどうして今までほっとくような真似をしたのか。おかげでお前は本当に苦しんできたというのに。・・」
話してる口調に怒りが混じってきた。絵里は話を聞きながらああ・・この人は何て
完全に絵里の境遇に入れ込んでしまっている。
桜田幸助という人間は自分ではドライな人間をまるで演じているかのようにふるまうが中身はかなり青い。そして炎のように熱いものを持っている。
こうすけには絵里にここまでする理由はなかった。放っておいても良かったはずだ。むしろ絵里が正義の味方になると口にするだびに顔をしかめ、彼が心を痛めているように見える。
でも彼は絵里の事を本気で案じていた。ぶっきらぼうでボンズのアプリで
送ったメールも特訓するぞと簡素なメールだった。それでも彼女は素直じゃないなあとこの数日こうすけを見てきた印象を受けてそう思った。
「放課後は開けとけよ。夜も特訓するから」と結界を時、先に行ってしまったが
「はい」と絵里は元気に返事を返すことが出来た。
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