8-弱音
「そうです。私は勇者に選ばれました。でもそれは誰に会ってもこちらの指示なしでは誰にも言うなと言われました。」
絵里はこうすけが彼女の事情にかなり詳しく、どこまで真実を語ればいいか迷ったが自分が情けなくて弱音をもらす
「去年の秋にこの国の女王様にお会いして、このペンダントをもらい。この国へやって来まして。でも勇者って具体的に何をすればいいんだろうって全然解らなくて
今回初めてスマートフォンのボンズで町の見回りを命令されたんだけど・・・」
ぎゅっと唇を噛んで悔しそうに
「これがあればこれから君を襲う脅威を降り払えるって、どんな恐ろしい魔物に教われても大丈夫だって言われたのに。何一つ出来なかった。多分一番簡単な任務だったのはずなのに私、こうすけさんがいなかったらあの場で殺されてた」
「私は正義の味方になりたいと思ったのに何も出来なかった。」
正義の味方といった絵里が言った瞬間ふぶき、まもる、カガリは気まずい顔をした。過去に罪を犯した彼らにとってその存在は猛毒だった。でも一途に彼女の正義の
「あの時お前が助けた女子高生。覚えてるか?」
そんな中で一番それ(正義の味方)を憎むこうすけが口を開いた。
「はい、助けにきましたっていった私が助けられてちゃしょうがないですけどね。おまけにあの娘がどうなったか解らないし」
まだ彼女はふさぎこんでいた。しかし彼は続ける。
「途中で逃げるあの娘にあったけど、あいつ、お前に感謝してたよ。本当に怖くて私死ぬかもしれないと思ったって、天使みたいな女の子に助けられたって。」
「え・・・」
「お前を迎えに行くことを話したら、あの人に加勢して欲しいていってた。あんな化け物一人じゃ無理だろうから」
淡々と彼は話し続けたしかしそこに徐々に熱を帯びる話し方になった。
「確かにお前はあのゴブリンにぼろぼろにされたかもしれない。しかし正義の味方としてのお前は負けていたのかな?」
「それは・・だって、私・・全然・・歯が立たなくて・・・役に立たなくて」
「お前に課せられた命令は町の巡回だ。確かにゴブリンを倒すのも任務の一部だったろう。でもお前はあそこで立ち向かったことで人を一人助けられた」
「だからさ、お前は誇っていいんだと思う。確かにあの魔物にはかなうわなかったかもしれないけど、今夜お前は確かに人を助けた。それが時間を稼いだだけだったとして無駄なんかじゃなかった
「今弱さを嘆くなら強くなればいい。今自分の情けなさを嘆くなら諦めない心を身に付ければいい。お前はまだ素人だけどお前はお前の出来ることをしたんだ。だから自分を認めてやれよ。本当に自分を認められるのは自分だけしかいないんだから」
まっすぐ絵里の目を見ていった言葉に絵里はしばらく泣き続けた。
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