7-魔法使いと魔導士

「さて、まず神崎はどうして俺があんたを迎えにいったのか。俺たちは何者なのかと説明しようか。疑問は山ほどあるだろうが、どうやらあんたは大まかなことを命令されただけでこの国の事も自分の使命もよく解らないだろうからね。」


 それに絵里はお願いしますと答えた。この国に来る前に命じられた自分の役割。魔物を一瞬で倒したこうすけの強さ。解らないことが山ほどある。


「まず俺があんたを迎えに行ったのはあんたが町の見回り中に魔物に遭遇するかもしれないから、迎えに行って神崎絵里を保護しろと命令を受けたからだ。」

「命令ですか?それは私みたいに使命でやっていたのではなく?」


「そ。俺は魔導士プロだからお仕事としてお国の命令には逆らえないのよ。これが」

こうすけはしょうがないといった感じで面倒くさそうに答える。

「プロ?」

「ああ、そこから説明しないと駄目か?あんた本当に何も知らされずに来たんだな可哀想に」とやれやれといった態度に絵里はむーとうなってしまう。


「大丈夫だよ。こう兄は説明役大好きだから。必要とあれば一晩中解らないことを語ってくれるよ。オタク気質だからね」と吹雪はけたけた笑いながらちゃかしていた。


「お前はいつもうるせえなあ。まあいいか話の途中だったな。神崎、あんた魔法使いと魔導士の違いって解る?」

いきなりの質問でちょっととまどったが

「うーん・・ちょっと解らないです。同じ意味合いの言葉だと思いますが?」


「そうだな魔法を使うという点では同じ。けど違うのはプロかアマチュアかってことさ。」

「魔導士がプロで魔法使いがアマチュアそういうことで俺たち4人はプロなんだけど神崎はアマチュア。解りやすくいと素人さん」


「こうすけさん以外の人達もその魔導士プロなんですか」

「理解が早いね。そんでもって俺たちはちょっと訳ありの魔導士なんで監視の意味も込めてこのおんぼろアパートに住んで同じ性を持っているってわけ」


「おんぼろはひどいよこうすけ君。僕が壊れた部分や雨漏り。老朽化した部分は治したじゃないか」と父親の守は文句を言っていた。ああ、悪かったよ親父と顔を思いっきり近づけられたのでこうすけは平謝りしていた。


「それで魔法使いと魔導士って具体的にどこが違うんですか」

絵里はその違いがよくわからなかったので再びこうすけに尋ねた。


「魔導士は金がもらえて、魔法使いはもらえない以上」

思いっきり偏見を堂々と言い放った。その瞬間こうすけに見事な回し蹴りが入った。

壁に思いっきりめり込んでいた。


ああ、また修理しないとといったまもるの言葉を無視して

銀髪の女性が「ばか息子、普段からお金のことばかり考えてるからそんなアホな説明をすることになるのよ」


こうすけがノックダウンしたので母のカガリが話を続ける

「まあこうすけの言うことは的外れじゃないんだけど世界には魔道法という法律があってちゃんとした国家資格として魔導士というものが存在するの」

「魔導士は文字通りその資格だけでプロとして食べていけるし、外で魔法をおおっぴらに使っても許される。逆にいうと魔法使いのままだと自由に魔法が使えないの。法律上ね。あんまり好き勝手魔法を使ってると魔導士では許されることでも魔法使いは処罰される恐れがあるの。この辺は刑法の概念に近いわね」


「誤解されがちだけど警備員さんとかでも現行犯以外は逮捕できない。犯罪を犯したものを捕まえて逮捕するのは警察だけってこと」


「同じように魔導士は道を外した魔法使いや同じプロである魔導士を捕まえたり処罰したりすることができる。それで合法的に魔法を使える魔導士であるそこのアホ息子があなたを迎えにいったわけ。」


いててとようやく立ちあがったこうすけが絵里に告げる

「そういうこと。それで神崎、あんたが勇者ってことで間違いないのかな」





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る