6-ガールズミーツファミリア

「あのここですか?」

そこは不思議な建物だった。アパートの様だったが入り口が一つしかない。おまけにピンク色の建物で駐車場の看板に日本語で大きく「アパート さくらだ荘」と書いてある。最近の家にはめずらしい煙突まである


基本的にこの国では英語で書いてあるのでかなり目立つ建物だった。おまけにサングラスがアパートの中央に描かれている。

「まあ、この中なら逆に人に聞かれる恐れはないってことさ。住んでいるのはうちの家族だしそれに俺が大家だ。いろいろ手を加えてあるから、結構快適だと思うぞ」

とこうすけはどこか自信がありげに答える。


これは入りづらいなあと思いつつ、「お邪魔します」とアパートの中に入った。


その途端大歓声が上がった。

「おかえり、あそのが例の勇者さん。すごい可愛いじゃん」

「本当だね。うちの娘になってほしいくらいだ。」

「綺麗な髪してるわね。どうお手入れしているの」


一斉に3人の男女に迎えられ、質問攻めにあってしまった。


こうすけが呆れた顔で

「ほら、こんなところで一斉に話しかけるな。戸惑ってるだろ。彼女

とりあえずみんな広間の方に行くぞ」


全員で広間に向かう途中絵里はアパート内部を観察する。中は101号室から106号室と書かれたドアがあり、一番奥に頭上に大広間と書かれた部屋があった。どうやら食事を取ったりする部屋らしい。


みんなが広間に座り、こうすけが奥の方から出かける前に作ったであろう食事を出してきた。ご飯にわかめの味噌汁。サラダにぶりの照り焼き完全に日本食である。

どうやら日本から来た絵里を気遣った献立らしい。お茶椀にはそれぞれ動物の絵が書いてあった。



じゃあまずは挨拶してくれてと絵里はこうすけに促された。

「初めまして、こうすけさんと同じ学校に通わさせていただいています。神崎絵里と申します。よろしくお願いします」


絵里があいさつした途端拍手がなる。何だかにぎやかだけど暖かいなと絵里は思った。しかし気になることがある全員髪の毛の色も違うし顔の感じも違う。

この人達は本当に家族なんだろうかと思う。


そんな絵里を見かねてかこうすけはみんなに自己紹介を促した


「はいはいーじゃあ俺から自己紹介させてね。俺の名前は桜田吹雪。フブキっていうんだ。ノアキス学園中等部に通ってい3年生だ。よろしくねおねーさん。」

フブキと名乗った少年は金髪の長い髪を後ろで縛り、ノリが良さそうな少年だった。

羊のお茶椀を手にしている


「次は私だね。私はニルスで市役所の役員をやっている。桜田守だ。もし役所に提出する手続きがあったら相談にのるよ」

マモルと名乗った男は黒い髪はすっかり抜け落ち、メガネをかけでっぷりとした腹をしている。何とも温厚な男だった。

それをイメージしてか狸のお茶椀である


「最後は私か、私は桜田カガリ。ピンカートン警備会社で社長秘書をやってるわ。よろしくね」

ものすごく綺麗な人だった。ショートヘア―で銀髪の髪形。鋭い目をしていて。いかにもキャリアウーマンといった様相だ。

豹のがらのお茶椀でご飯を食べていた。


こうすけの席には犬のお茶椀が置いてあった。


それぞれのお茶椀を見てちょっと子供っぽさを感じ誰の趣味だろうと絵里は思った。

するとこっそりフブキが「これはねえ、コウ兄の趣味なんだよ。家族なんだからこういうのを揃えたいって、何だか乙女チックだよね」とシシシと笑った。ぶっきらぼうなあの男にもそんな一面があるらしい。


「家族か」とお客用の無地のお茶椀を見ながら呟いた。


「さあ自己紹介が終わったし食事をしながら、話をしようか。あんたにもいろいろ疑問があるだろうしね」

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