5-戦いの後で

「さてと」

戦いが終わりこうすけは絵里のもとに近寄ってくる

「手ひどくやられたな。傷は」

「体が痛くてちょっと動けそうにないです」


もう見得を貼る必要は無い。今回の戦いは何もできなかったことに情けなさをかんじていた。


「ちょっと待ってろ。命の源、清らかな水よ、我が手に集いて祝福を」

「ウォーターヒール」


こうすけが呪文を唱えるとたちまち絵里の傷が回復した。

「傷はどうだ」


「大丈夫です。体の痛みが消えて動けます。」

「そう、それは良かった」


そう安堵した彼の表情は昼に感じた不愛想な感じは全く無く、ただ優しさを感じるものだった。その表情にちょっと顔を赤らめつつ


「あのこうすけさんは私を探しに来たって言ってましたけど」

「俺たちの上層部から命令が来てね。3代目勇者桜田絵里をキャメロットの街中で保護しろという命令だったんでね」


「じゃあこうすけさんは私の事今日転向したときから全て知っていたんですか?」

「いや、全然帰ってきたらボンズでメッセージを受け取って5時間近くキャメロット中を探していたところ。いくらお前の魔力が高くても、バイクで街中を探していると人の魔力を見過ごすことも多いからね。そろそろ歩きに切り替えようと思ったところで、お前がいるのを見つけて無事保護したと言わけだ」


「バイクってこの国、高校生でも乗れるんですか?」

絵里はまだこの国に馴染んで無いため日本の常識で疑問を投げかける。


「この国でも16歳を超えないと無理だけど、俺は特権で許されている。さてそれじゃあ行こうか?」

急に場所の移動をすることに戸惑いを感じ

「私の保護が目的でしたら、もうすんでいると思いますけど、どちらに行かれるんですか?」


「ああ、お前の保護に目的がある。ある程度お前の使命についてのレクチャーも任されてるんだ。そんなわけで俺の家に行ってこれから授業をしなくちゃいけないわけだ。面倒だがこれも仕事でね」


「仕事ですか?こうすけさんの仕事って何ですか?それにいきなり男の人の家にだなんて?」


男の子達とも集団生活を送っていたため、抵抗が全く無いわけないがどうしもそこは年頃の女子高生。会って一日目の少年の家に行くにはちょっと恥ずかしい。


「その点なら大丈夫。あいつらなら、お前さんを簡単に受け入れるよ。まだ飯食わないでまってるだろうし。それにお前のボンズにも家に来て情報取集するよう通知がきてるはずだけど」


絵里は自分のスマートフォンのメールや通話が出来るアプリ、ボンズを起動させると確かにそんなメッセージが届いている。


桜田こうすけに従い、君の使命を知りなさい。大丈夫彼らは君を加えられないと


「それじゃあ、夜も遅くなって来たし、こんな夜中にうろうろしてると警察に職務質問されそうだし。そろそろ行くか」


あの学校を案内したときのように近くにあったバイクを転がしてきて、ヘルメットをかぶり、ひょいっとヘルメットを絵里に投げてきた

正直、展開の速さについて行けないが、ついていくしかなさそうだ。


それに彼の正体をまのあたりにしても彼の見方は変わらない。


ヘルメットをかぶり

「じゃあお願いします」とバイクの後ろに乗りこむ。


こうして彼らは桜田こうすけの家に向かった。



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